天皇の譲位(生前退位)問題について有識者会議が結論を急ぐのは、正しい

天皇有識者会議

「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」(首相官邸サイトより)

小林よしのり氏は大層なご不満のようだが、有識者会議の皆さんが早く結論を出そうと頑張っておられることを高く評価したい。

今月中に有識者会議としての一応の結論を出されて、後は国会の議論なり国民の世論に委ねられることである。
どういう結論を出してもどこからか異論が出てくるのがこの種の問題で、論点が多ければ多いほど議論が複雑化し、収拾が付かなくなる。

今は、大方の国民が当面納得出来るような結論を出すことが有識者会議の大事な役割で、学者や専門家の議論で問題を複雑化したり、収拾不能な状況に持って行ってしまうことは誰も期待していない。

出来るだけ問題を単純化し、国民が選択しやすい形にするのが有識者会議の皆さんに課せられた役目である。
まあ、初めから答えが分っている、特例法の制定で今上天皇一代限りの譲位(生前退位)を求めようという内閣の考えをなぞるだけのものなんだろう、などという批判が出てくるだろうが、有識者会議が出した結論はあくまで有識者会議の意見であって、内閣の結論ではない。

ここは、自信を持って有識者会議としての結論を出されればいい。

専門家の意見が区々に分かれているから結論を出すのは先延ばしにしよう、などと消極的になる必要はどこにもない。批判は、恐れないでいただきたい。

私は、皇室典範の付則に皇室典範の特例に関する法律を制定することが出来る旨を書き加えることに賛成である。
皇室典範の全面的改正は今の状況では到底無理だから、まずは当面する今上天皇の譲位(生前退位)問題についての対処策を特例法で定めることが出来る、という一種の授権法を定めることだ。

現行憲法の象徴天皇制に大きな風穴を開けるものだ、などという批判がいわゆる天皇制護持派の皆さんから出てくるかも知れないが、何も決めないのでは結局今上天皇の御心に一切耳を貸さないことになってしまう。

何らかの結論を出すことが有識者会議の皆さんに課せられた役割なのだから、ここは思い切って清水の舞台から飛び降りられることだ。

小林よしのり氏は、「皇室典範に「ちゃちゃっと」付則を書いて、「抜け穴」を作り、特例法で済ませてしまうなんて暴挙が認められるはずがない。この「抜け穴・特例法」方式は「朝ナマ」で竹田恒泰が主張していたが、周囲は唖然としていた。「ちゃちゃっと」という言葉はその時、竹田が使っていた言葉である。天皇の「譲位」を特例法で「ちゃちゃっと」済ますという発想自体が、「不敬」極まるもので、天皇を侮辱する極左の発想である。」などと批判されているが、多分そういうことを言われるのは、天下広しと言え小林よしのり氏お一人だろうと思う。

どんな意見に耳を傾けられてもいいが、左右されることはない。
批判は批判として受け止められればいいだけである。

結論を出すのは、国民の代表である国会議員で構成されている、国権の最高機関とされている立法府の国会である。


編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2016年12月11日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。