会話術や雑談ネタが、コミュニケーションの新たな領域としてブームになっている。最近のビジネスパーソンにはコミュニケーションが苦手という人が少なくない。このような人にはいくつかの特徴があるようだ。
「実は昔の私も同じような悩みを抱えていたので気持ちは良くわかります」と話すのは、松橋良紀(以下、松橋氏)だ。コミュニケーションの専門家として、累計で30万部、著書14冊(共著を含めると17冊)をほこるベストセラー作家でもある。
■「尋問のような質問」をしていないか
あなたは、相手の年齢を知りたいとき、お付き合いしている人がいるか知りたいとき、どのように聞くだろうか。まさか、「いま、おいくつですか?」「彼氏(彼女)はいるのですか?」と聞いていないだろうか?
このような質問を受けると、ズバズバいわれているように感じてしまい、プライバシーを侵害されているような気分になってしまう。表情に出ないだけで、実際には相手を怒らせてしまうことも多い。松橋氏によれば、これは「直接質問」というものらしい。
「直接質問は、単刀直入に回答を求めるので、正確な情報や事実を集めるには適しています。しかし、一方で相手との関係性を壊してしまうことも多くなります。特にプライベートについて直接質問をすると警戒心を持たれるリスクがあります。」(松橋氏)
「~について、お聞きしてもいいですか?」。この一言があると、気遣いをしているニュアンスが伝わる。先ほどの質問であれば次のように変化する。「おいくつか、聞いていいですか?」「彼氏(彼女)はいるのか、聞いていいですか?」。このような具合である。
松橋氏はさらにコミュニケーションを円滑にするのであれば、「間接質問」を取り入れるべきと主張する。「間接質問」でどのように変化するのか確認いただきたい。
・いま、おいくつですか?
↓(間接質問に変換)
・カラオケではなにを歌いますか?学生の頃流行っていた曲はなんですか?
どんな曲を歌うかで、だいたいの年齢を想像することができる。
・彼氏(彼女)はいるのですか?
↓(間接質問に変換)
・休みの日は、どのようなすごし方をしていますか?
休みの日の使い方で、相手のプライベートの部分をイメージし易くなる。そこから丁寧に会話をしていけば良いだろう。
「間接質問を付加することで、スムーズな会話が成立します。さらに、スマートに聞き出すことが可能になるはずです。」(松橋氏)
■最近増殖中のペラペラ男にも注意
「自分でペラペラしゃべっている限り、相手のことを知ることはできません。自分の話をするまえに、相手のことを知るのです。それは相手に聞くことです。ジャンケンで必ず勝つ方法があります。それは後出しジャンケンです。会話を後出しジャンケンにすればいいのです。会話を後出しにすれば負けることはありません。」(松橋氏)
「そんなの当たり前だ」と考えた人に補足をしておきたい。ここで一つのケースを提示したい。会話が下手な人ほど、「先出しじゃんけん」で会話を盗み不愉快な気持ちにさせる傾向が強い。あるカップルの会話を想定した。
彼女:「ねえねえ、昨日、話題のAAに行って来たよ」
彼氏:「なんだ。僕はすでに先月行って来てねぇ!!」
彼女:「ふーん、で、どうだったの?」
彼氏:「クオリティがイマイチだったね。評判ほどではないね!!」
彼女:「へぇ~、そうなんだ」
彼氏:「そんなの常識だよ!」(彼女が行って来たことを忘れている)
彼女:「わかった。話を変えようか?」(意気消沈気味)
彼氏:「俺はこう思うね。うんちゃらかんちゃらで~ほにゃららで」
彼女:「・・・」
このケースであれば、相手の会話を盗らずに最後まで聞いていれば、不愉快にさせることはなかっただろう。少々極端なケースではあるが、私たちのまわりには「後出しジャンケン」であれば生じなかったトラブルが思いのほか多いことを知らなければいけない。
「コミュニケーション下手な人は先出しジャンケンで失敗しています。モテない人はペラペラしゃべり相手のツボをわからないのに会話が成立していると勘違いします。」(松橋氏)
これからクリスマスや年末を迎えるにあたり、多くのイベントがあることだろう。あなたの株を上げるためにもコミュニケーションには気をつけたいものだ。今回、紹介したケースや内容は、すぐにでも実行に移せる簡単なテクニックである。参考にしてはいかがだろうか。
参考書籍
『話し方で「成功する人」と「失敗する人」の習慣』 (アスカビジネス)
尾藤克之
コラムニスト
アゴラ出版道場、第1期の講座が11月12日(土)に修了しました。12月6日に「第3回アゴラ著者入門セミナー」を開催しました。「第4回アゴラ著者入門セミナー」は、来年、1月31日の開催予定です。
なお、第2期出版道場は、来春予定しています。