強い政治家であり続けるためには、何事にも周到で、簡単にぶれないことが大事である。
信念がない政治家、言うことがコロコロ変わる政治家は信頼を失いがちだから、これが正しいと思ったら最後まで貫き通すのがいい。
もっとも、あ、間違えた、と思った時は、素直に間違いを認めて訂正したりお詫びをするくらいの柔軟さや臨機応変さも必要である。
強かで、かつしなやかさが必要だ、と私が言うのはその趣旨である。
アゴラに、小池さんはネットの評判に耳を傾けた方がいい、というアドバイスをされている方の投稿が掲載されていたが、政治家がネットの評判を気にし始めるとネット世論に迎合して、その時々の方針を変えてしまうことになりかねないから、あまりお勧めできない。
ネットの評判がテレビにまで影響するようになるとさすがに危うくなることもあるが、ネットがネットにとどまっている限りはそう大したことはない。
ネットの評判に左右されるようになると、政治家はずいぶん弱くなる。
ネットは実は相当に操作しやすい情報媒体だから、極端な意見を言う少数者の発言でネットの世論が形成されてしまうことがある。
今のところ、ネットで世論の動向を探るのは危険だし、ネットの評判を政治家が一々気にし始めると、いつの間にかポピュリズム政治に堕してしまうことにもなりかねない。
ネットに左右されて政治生命を事実上失ったか大きく毀損してしまったのが、自民党の幹事長を務めたこともあるリベラル派の故加藤紘一氏だということは、知っておられる方はご存知のはずだ。
ネットは無視はしてはいけないが、ネットの評判を気にし始めると政治家として劣化の道を辿ることは、大方の自民党の国会議員は承知しているはずだ。
小池さんは小池さんの流儀で、東京改革を進められることだ。
世論に一番敏感なのは小池さんだろうし、世論を自分の思い通りに動かすのに最も巧みなのも小池さんだと思う。
自分の決められたスケジュール通りに事を運ばれることである。
小池さんのブレーンが弱い、とか、森さんとの戦いに負けているではないか、小池包囲網が段々強まっているぞ、などとあれこれディスる人たちがいるが、今はまったく気にする必要がない。
強かでしなやかな小池さんは、滅多なことでは負けない。
まあ、皆さん、黙って見ておられることだ。
編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2016年12月12日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。