「二度と起きぬよう原因究明」と米国防総省 日本国内初の重大事故で
http://www.sankei.com/politics/news/161214/plt1612140013-n1.html
現状原因など詳しい話は伝わってきていませんが、これは大石英司氏も指摘されておりますが、夜中に大臣が記者会見をするような話ではないでしょう。
プロ市民はともかくとして、政府もメディアも自治体もオスプレイの機体や飛行の特性を知ろうとせずに、まるで空飛ぶ円盤にでもついて議論しているような感じです。
航空機に関して、事実やデータに基づかない議論は全く不毛であります。
それは未開の土人が、飛行機を鉄の鳥だと恐れて対策を話し合うようなものです。
敢えてお叱り覚悟で申せば、政府も自治体もメディアも「オスプレイ土人」です。
否定派は自治体も、メディアも「わけからんけども、なんでもオスプレイ鋳鉄の鳥は大層危険なも生き物だべ」と理性全く否定だし、政府はまるでかつての原発のように「オスプレイは100%安全な鉄の鳥です」というような説明を繰り返すわけです。
両方共エビデンスに基づいた議論をしていません。文明人ではありません。
オスプレイで問題となるのは、ヘリや固定翼機との飛行状態の違いでしょう。特にヘリモードでの機動性はヘリよりも劣ります。また人的ファクターも問題でしょう。ヘリや固定機になれたパイロットが、オスプレイを操縦する際に、つい以前の自分の載っていた機体と同様に対処してしまうことは十分にありうるでしょう。
こういうことが議論されずに情緒に基づくだけが増幅されています。
これまでのオスプレイの運用を見た場合、特に欠陥機というほどの事故は起こっておりません。しかもアフガンなどの実戦で使用してもです。これは大石氏も指摘されておりますが、むしろ運用によって事故率が変わってくるわけです。海兵隊用の機体と、特殊作戦用の空軍の機体とでは運用は全く異なり、事故率も当然変わってきます。これを意図してか、せずか混同しているメディアも見受けられます。
ぶっちゃけた話をすれば、すべて飛行機は構造上墜落するものです。
では旅客機の事故が起きたからといって、旅客機は危険だ世界中の空港を閉鎖しろとかいう話にはならないでしょう。
それを100%安全を保証しろ、というのは土人かヤクザの言いがかりです。
繰り返しますが、オスプレイと名前を聞いただけで脊髄反射的な反応を起こすのは土人です。
我が国の安倍大酋長以下、土人の不毛な言い争いはやめて欲しいものです。
ですが、もっとも一番ひどいのは防衛省かもしれません。
ぼくは以前記者会見で何度もオスプレイは何機導入するのかと訪ねましたが、調達担当者も防衛大臣も「わかりません。買ってから考えます」と答えました。
つまり、どのような任務にどのような構想で、どの程度の規模の部隊を、どの程度の期間に整備するか、そのためも総額はいくら必要かということこともわからずに、「なんでもオスプレイちゅう、鉄の鳥は神様の使いだそうで、偉いご利益があるそうだべ」と、思考停止でとりあえず17機、2千億円ほどの税金を使うことを決めました。
これが土人じゃないならば、頭がおかしいとしか言いようがありません。
そしてぼくが記者会見でこの質問をしても、記者クラブ会員各社はまったく後追いも、取材もしておりません。つまり防衛装備品としてオスプレイを見ることができないのです。ひたすら情緒に基づいた政治的な話しか書けません。
そしてあいもからず沖縄の「鉄の鳥」に対する怯えや怒りといった「情緒」や「鉄の鳥」は危ないといったこれまた情緒に基づいた「報道」を行っております。これまた文明人にあるまじき所業だと思うのですが、いかがでしょうか。
東洋経済オンラインに以下の記事を寄稿しました。
「駆け付け警護」は自衛官の命を軽視しすぎだ
http://toyokeizai.net/articles/-/146208
駆けつけ警護に関してJapan In Depth に以下の記事を寄稿しております。
自衛隊に駆けつけ警護できる戦闘能力はない その1 情報編
http://japan-indepth.jp/?p=31070
自衛隊に駆けつけ警護できる戦闘能力はない その2 火力編
http://japan-indepth.jp/?p=31120
自衛隊に駆けつけ警護できる戦闘能力はない。その3防御力編 前編
http://japan-indepth.jp/?p=31185
自衛隊に駆けつけ警護できる戦闘能力はない その4防御力編 後編
http://japan-indepth.jp/?p=31379
自衛隊に駆けつけ警護できる戦闘能力はない その5戦傷救護編
http://japan-indepth.jp/?p=31436
編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2016年12月14日の記事を転載させていただきました(タイトル改稿)。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。