選挙出たいけど金欠…は言い訳!

伊藤 陽平

東京都議会議員選挙が近づき、私のところにも様々なご相談をいただくことがあります。

saifu

様々な悩みを抱えているようですが、現時点で最も多いご質問は活動資金の話です。
個別にご対応させていただくことも難しいため、よくお答えしているポイントについてまとめてみたので、ご興味のある方はご一読いただければと思います。

地方議員になるためには、数百万円〜1千万円程度の資金が必要と言われています。
しかし、その時点での資金状況が理由となり、政治家になれないことは社会的にも損失だと思います。

まず結論を申しますと、現時点で資金が足りなくても地方議員の場合にはなんとかなることがあります。

とりあえず、すべての私財を投じること、そして恥ずかしいかもしれませんが手段を選ばす、頭をたくさん下げて資金を集めることをやってみると良いと思います。

家族や友人、経済的に余裕のある人などから、その気になれば500万くらいは集められるものです。
もちろん、誰でも寄付を集めたり、お金を貸してもらえるわけではなく、有権者から投票してもらうことと同様に、最低限の信用が必要となります。

人の心を動かせるよう、人生をかけて政治家になる覚悟を伝えたり、資金をどのように活用するか説明が必要です。

また、人によっては、
「借金を背負ってヤバイ…」
と心配になることもあるでしょう。

一般的な方の信用力であれば、死に物狂いで資金を集めても数百万からせいぜい1千万円程度が限度ではないかと思います。

1千万円程度であれば、一生かける覚悟があれば時間はかかりますが生活を切り詰め誰でも返済できる金額だと言えますし、選挙に落選しても命まで奪われるわけではありませんので、それほど心配することはありません。

もちろん、簡単に数千万から数億円の資金調達ができる場合は、社会的な信用が高い人なのでそもそも何とかなりそうな気がします。

また、クラウドファンディングでお金を集めることも可能です。
2014年の都知事選では、家入候補が約745万円をクラウドファンディングで調達し話題となりましたが、インターネットを活用することで、これまで積み上げてきた社会的信用をお金に変えることも有効です。

ここからは、私の実体験の一部をご紹介します。

選挙前は数ヶ月は無収入になることから、家計にも少なからずマイナスになると判断しました。
そのため、新宿区政へすべてを捧げる覚悟で、すべての私財を投じました。

今となっては懐かしいですが、その過程で愛用していた高額なギター等もすべて売却しました。
音楽はこれまで私の人生すべてをかけてきたもので、ギターを手放すことは人生の大きなターニングポイントにもなりました。

新宿区議会議員選挙は、選挙に強い候補者が多いこともあり、都議選ほどではありませんが、自分の実力を考えると難易度が高い難しい選挙だということもよくわかっていました。
中途半端に立候補をしても落選することは見えていたので、すべてをかけることを決意し、その一つとして大切なものを全て手放すことにしました。
数十万程度であれば売却した金額はそこまで大きくありませんし、本来はやる必要がなかった可能性もあります。
結果論ではありますが、一番大切なギターまで手放し、振り切った活動をしたからこそ、家族や有権者へ本気度が伝わり支援が得られたように思いますし、何より自分も相当気合が入りました。

もちろん、
「選挙に出たいけど資金がない人が立候補できないなんておかしい!」
というご意見も確かに理解できます。

しかし、政治の世界では資金がないからといって、すぐ納税者の財布に手を伸ばすことは問題外です。
知恵を絞って、人を巻き込み、苦しみながら改革の道を見つけていくことが求められます。

東京都政の場合は約13兆円、新宿区政の場合でも約2000億円もの予算規模ですが、当選ラインまでに必要な資金調達が自力で行えない人物は根本的な経営能力に問題があるため、むしろ落選した方が社会にとってプラスになるという考え方もできます。

私は誰もが政治家を目指せる社会にしたいと思っています。
しかし、能力に関わらず希望者が政治家になれることと、年齢制限や供託金を撤廃し政治家になるハードルを下げることは異なります。

社会的に信用が積み重なっていることが前提ですが、資金面ではクラウドファンディングが一般化したことで、ほとんど解消してきていると言っても過言ではありません。

また、選挙本番の話ですが、ネット選挙が解禁したことも忘れてはいけません。
東京都知事選の際もネットが大いに活用されていましたが、ネットでは著名人以外でも情報発信を行うことができるようになりました。
無名の新人であってもネットで情報発信をすることで、結果的にTVや紙媒体等にも波及し、選挙結果に大きなインパクトを与えることも可能です。

もちろん、既存の候補者を破るためには伝統的なドブ板選挙も必要で、現職以上に行わなければなりません。
しかし、小池都知事が誕生した際を思い出していただければわかると思いますが、ネット選挙は攻めていくタイプの候補者にとって非常に有利に働きますし、都議選でも新人候補が利用すれば破壊力は抜群です。

こうした点を踏まえれば、本当に政治家になるべき人であれば、すべての問題は自然と解消していくため、資金不足を理由に立候補を取りやめる必要は一切ありません。

また、選挙全般に言えることですが、当選するまでの選択肢は無限大です。
公職選挙法を踏まえながらも、常識にとらわれず各自が斬新なチャレンジをすることで、新しい政治の道が開けるのではないかと思います。

それでは本日はこの辺で。