平成28年度第2次補正予算で「サービス等生産性向上IT導入支援事業」という制度が導入されることになりました。以前から「革新的ものづくり・商業・サービス開発支援事業(通称:物づくり補助金)」という類似した事業がありましたが、結果的に9割が製造業への補助金となっていました。
今回の補正予算によって、サービス産業を営む企業経営者、個人事業主が生産性や経営力を高めるために、ITシステムに投資を行う場合の新たな補助金を100億円分つくったのです。これは、物づくり補助金のように革新的な事業を前提としていないので、ハードルはかなり低いのです。つまり、使い勝手のよい補助金ということです。
具体的には、ITシステム導入の3分の2が補助されます。補助金額は上限100万円、下限20万円ですが、限度額を超えるような場合も内容によっては認めらますので、必ず相談して下さい。もちろん、補助金交付には事前の審査があります。対象になるのは、飲食業、医療・介護、保育、小売業、運輸業、パン屋、エステ等のサービス産業全般です。
ITの導入と言っても何でもが補助対象になるわけではありません。登録されたサービスが対象になります。登録されたサービスは何かを知るために、サービス産業の経営者は、まずIT登録事業者というソフトウエアやデバイスを提供する人たちに相談することになります。IT登録時業者というのは、ITベンダーをとりまとめる役割を担っていて、この登録事業者が登録するサービスが補助の対象になります。IT登録事業者が誰かは、補助金制度の事務局機能を担う一般社団法人サービスデザイン推進協議会 のHPに平成29年1月中旬に掲載されることになります。サービス産業の経営者にとって、補助金申請の手続は大変に面倒は仕事なので、IT登録事業者は申請代行や支援を行う役目も担います。
補助金を受け取ることが出来るサービスの事例としては、パッケージソフトウエアやクラウドサービス、これらを使ったソルーションや周辺機器も含まれます。タブレット端末型レジやPOSレジアプリ、マーケティング関連ツール、クレジット決済端末など、幅広く想定していて、今流行のフィンテック関連サービスのツールやソフトウエアも対象です。単にタブレットを購入することは出来ませんが、業務を行うに際して必要なアプリを使うためのタブレットなら可能です。
スケジュールについては、平成28年12月中旬にIT登録事業者の登録募集が始まります。IT登録事業者になりたいという方は、提供するサービスを取りまとめておいて下さい。サービス産業経営者の皆さんは、平成29年1月下旬に補助金申請がスタートするので、一般社団法人サービスデザイン推進協議会 のHPより、自分の必要とするサービスを提供するIT登録事業者を見つけて、内容を確認し申請の代行をしてもらうか、自ら申請してもらうことになります。
自らが望むようなサービスを提供しているIT登録事業者がいない場合も想定できるので、その場合はサービス産業経営者がITベンダーと事前にサービス内容の調整行って、そのITベンダーに、IT登録事業者になってもらえばよいのです。そのサービスが認められれば、IT登録事業者になれるからです。知恵の使いようですから、頭を使って考えてみると良いと思います。
平成28年度補正予算ということもあり、申請が認められたサービス産業事業者には、3月の年度末に補助金が支払われることになります。IT登録事業者が提供するサービスも3月末までに納入しなくてはなりません。全てにおいて時間がタイトになっているので、準備を滞りなくおこなっていくことが大切になります。一方で、募集期間については、短すぎるのではないかという意見もあり、期間の延長、それに伴う予算繰り越しについて現在調整中であり、年内をめどに結論がでると思います。たぶん、期間延長になると思います。
サービス産業の比重の高い日本が、更なる経済成長を追い求めるには、第3次産業の生産性向上が不可欠です。「サービス等生産性向上IT導入支援事業」は、この課題を解決する手法となります。IT投資を行い生産性を高めて、サービス産業が儲かり、ITベンダーも儲かるという循環をつくることが出来ればと思います。
補助金の担当省庁は、経済産業省サービス政策課です。詳細については下記参考資料を参照してください。また、内容の説明等は福田峰之事務所にご連絡を頂いても構いません。
編集部より;この記事は衆議院議員、福田峰之氏(前内閣府大臣補佐官)のブログ 2016年12月16日の記事を転載しました。オリジナル記事をお読みになりたい方は、ふくだ峰之の活動日記をご覧ください。