高橋洋一氏著書の著作権侵害について その2

アゴラ編集部

講談社から刊行された高橋洋一氏の著書『中国GDPの大嘘』で著作権を侵害されたとして、金森俊樹氏が高橋氏の所属先である嘉悦大学に対して送った質問状が編集部にも寄せられ、11月15日付で「公開質問状」として掲載した。この間、高橋氏や嘉悦大学が、金森氏に対して回答に応じなかったため、金森氏は第2弾となる大学宛の質問状を送り、編集部に再度投稿した。

これを受け、編集部では金森氏の新たな質問状を公開するとともに、嘉悦大学、講談社に対して先週取材を申し込み、20日午後までの回答を申し入れた。嘉悦大学は金森氏への質問、アゴラへの取材申し込みに対して全く反応せず、説明責任を果たしていない一方、講談社は担当部長が即日で取材に応じたので、その内容も合わせて以下に掲載する。


嘉悦大学学長御中

嘉悦大学「高橋洋一教授の件についての調査結果について」への質問書(2 

標記に関わる質問書は、2016年11月10日付で、貴学長あて送付申し上げるとともに、アゴラウェブサイトにも、公開書簡として掲載されているところですが、12月12日時点でなお、貴大学ホームページ上に回答が掲載されておりません(編集部注・21日未明時点でも掲載せず)。

質問書において、回答を「速やかに」貴大学ホームページ上に掲載するよう求めたところですが、すでに1か月を経過しているにもかかわらず、質問に対する回答はおろか、私が提起した論点に対する(もしあるとして)反論さえも行われていないことは、極めて遺憾です。もとより、公共的使命を有する良識の府たる大学が、事柄の性質に鑑みても、「問題提起されたことを黙殺して、ほとぼりが冷めるのを待つ」というような態度をとることはあり得ないと考えておりますが、1か月を経過して無回答という状況から、残念ながら、そうした疑念を持たざるを得ないところであります。

私としては、改めて、11月10日付の当方質問書に対する大学としての回答、また再調査結果を、速やかに(すでに1か月を経過していることから、2016年年内を目途)、貴大学ホームページ上に公開していただくことを強く求めます。その上で、本件の当事者である「著者」高橋洋一氏、出版元である講談社の行為・対応(私が承知している限り、両者ともこれまで、本件について、対外的には、一言の説明、釈明、あるいは当方の指摘に対する反論すらしていない)、また、これに対する貴大学の対応を含め、本件のような問題が生じていることについて、当該書籍の読者を始めとする社会一般、貴大学で研究・教育に携わっておられる教職員の方々、そしてなによりも、貴大学で学んでいる学生の皆さんに考えていただきたいと思っております。

2016年12月13日
金森俊樹


嘉悦大への取材と回答=回答なし

編集部からは16日付で事務局宛のメールで取材を申し入れた(電話で受信を確認)。質問は、①第1弾の質問状について現時点で大学としてコメントしていないが、金森氏の質問に対する見解はあるのか?第2弾についても、今後対応するつもりなのか?②対応しないつもりならば、このまま「貴学は問題ないと認識している」あるいは「貴学は金森氏の質問状を黙殺する」という見解でいいのか?−−の2点。20日午後までに回答するように申し入れていたが、大学側から回答はなかった。

(※編集部では、本記事掲載後も回答があれば追記で紹介するので、嘉悦大学の責任ある回答が望まれる)

講談社への取材と回答=「問題の責任はすべて編集部」

講談社にも16日付で取材を申し入れた。①大学側はすでに調査に乗り出し、金森氏が大学に対して公開質問状も出しているが、本件の事実関係をどう認識しているか? ②貴社は2005年と2007年、漫画を巡っての盗用騒動があった際は、絶版等の措置を取ったが、なぜ絶版という形式をとらないのか?−−等の質問を送った。

講談社側からは、問題の書籍を担当した第一事業局企画部担当部長が即日で編集部に回答を寄せた。それによると、同社が大学側の調査に対して回答した事実経過と同じく、金森氏の記事を引用した箇所について出所を明示しなかった編集部のミスだったとし、「今回の問題の責任は、すべて編集部にあります。基本的な作業を徹底できず、金森様に多大なるご迷惑をおかけしたこともあり、編集者として恥ずかしく思っております」と釈明した。また、過去の漫画の盗用騒動のケースと対応が分かれたことについては、「様々なケースがありましょうが、今回はこれをもって、出版社ができることのすべてと判断させていただきました」とした。