「近畿大学水産研究所」から考えた大学のサバイバル戦略

内藤 忍

image554-e1482284944935毎週メールマガジンで「グルメ設計塾」というコラムを書いています。年間50軒の美味しいお店を紹介することになりますが、行った店がすべて「当り」とは限りませんので、意識してなるべくたくさんのお店に行くようにしています。

日比谷で仕事があった後、銀座コリドー街を歩いていて思いついたのが「近畿大学水産研究所」でした。近大と言えば、マグロの完全養殖で知られています。その養殖マグロを中心に魚料理を提供するお店です。ランチタイムが少し過ぎていたタイミングなので、待つことなくあっさりと入れました。

海鮮丼は1800円というランチとしては強気な価格設定でしたが、洗練された内装で、マーケティングが上手なお店だと感心しました。恐らく、大学が運営しているのではなく、大手の飲食店に業務委託して運営しているものと想像します。

日本の大学は少子化によってこれから厳しい経営環境になっていきます。ブランドが確立しているとは言えない中堅の大学は、差別化のための戦略が必要になっています。失礼ながら近畿大学も全国にブランドが確立した大学とは言えません。そんな中で完全養殖を実現した水産学部は、大学経営のマーケティングの重要な武器になると思いました。

私が近畿大学の経営を考えるなら、このお店を自分の大学の学生が働くお店にすると思います。東京にキャンパスが無いから難しいかもしれませんが、休みの時だけでも学生を送り込んで、リアルな労働体験をする。大学に対する帰属意識も芽生え、お客様から見ても近畿大学の学生とはどんな人たちなのかを知ってもらえ、大学のファンが増える可能性があります。大学生が体験できる「リアルなキッザニア」です。

マグロの完全養殖をきっかけにして、大学全体のマーケティングに最大限活用できるようにしていく。人気店になって、店舗が増えていけば、よりPR効果も高まっていきます。

お店としての採算や、養殖マグロの市場拡大を目指すだけではなく、もっと大きな視点で、大学全体にとってプラスになるためにどうすれば良いのかを考える。その方がお客様にも面白いサービスを提供できるし、大学にとってもメリットが大きいような気がしました。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所をはじめとする関連会社は、国内外の不動産、実物資産のご紹介、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2016年12月21日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。