これで解散などしようものなら腹黒だと言われかねない

騙し討ち解散だなどという悪評は金輪際御免蒙りたい、というのが安倍総理の本音だと思う。
抜き打ち解散、不意打ち解散をしてしまうと、確かにその時はそれなりの結果は出せるだろうが、そういうことをやってしまった総理は腹黒で、信用できない政治屋だ、という悪名を末代まで残すことになってしまう。

安倍総理は細心の人だから、この段階で永田町界隈の人を騒がすような無茶はされないと思う。

何かの下心があれば言葉を濁すものだが、安倍総理は新春のゴルフを満喫され、解散の可能性を聞いてきた記者にあっけらかんとして「ない、ない」と答えたそうだ。
新聞各紙が報道しているから、みんなが聞こえるように、間髪を入れずはっきりとそう答えられたのだと思う。

1月20日にトランプ氏がアメリカの大統領に就任し、日本ではその日に通常国会が召集されると言う。
TPPからの離脱表明をはじめアメリカの政治が大きく変わろうとする時に、あえて衆議院を解散して日本をまた選挙一色に染めてしまうことがいいかどうか、ということになると、もう少し世界の情勢が安定してからの方がいいだろうと考えるのが為政者としての常識だろうと思う。

ああ、これで確定的に1月の衆議院解散はなくなったな、というのが私の感想である。

安倍総理は、騙し討ち解散に踏み切らざるを得ないほどには追い込まれていない。
いや、まったく追い込まれていないし、そもそも誰も安倍総理の政権基盤を揺るがせるようなことをしていない。

本当は自民党は大したことはないのだが、相手が勝手に転んでいるから自民党が勝ち残っているだけだ、というのが私の観察なのだが、当分この基調は変わりそうもない。

1月通常国会冒頭解散はやっぱりありませんね、というのが私の結論である。

皆さん、大いに正月を楽しまれることだ。


編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2017年1月3日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。