独立した人が2度と会社員に戻れない3つの理由

内藤 忍

会社員として仕事をするのを辞めてから5年目になりました。最初は自営の仕事のやり方に戸惑いましたが、数年経ってようやく自分のペースで仕事ができるようになりました。そして今や、もし会社で仕事をしないかと誘われたとしても、もう2度と戻れなくなってしまいました。

その理由は3つあります。

理由1 時間の自由があるから

自分で仕事をするようになると時間管理も自己責任です。会社の就業規則のように朝9時~夕方5時まで出社といった制約が無くなります。時間が自由にできるというのは、想像以上の大きなメリットがあります。例えば、平日に休みを取れば、旅行の予約もスムース、人気のお店も簡単に予約できます。また、2週間、3週間といった長期のお休みも自分でコントロールすれば作り出すことが可能なのです。

私の場合、休日に働いて、平日に休むことを意識しています。オフィスに定時に行く必要もなくなり、渋滞や通勤ラッシュといったストレスから解放されました。

理由2 意思決定の自由があるから

自分で仕事をするようになると、意思決定者は自分自身です。ミーティングで決めるべきことがあれば、持ち帰るのではなくその場で自分で決裁できます。会社の会議で諮ったり稟議書を回す必要は無いのです。これは、自分で決められるというだけではなく、意思決定のスピードを飛躍的に高める効果があります。

また、誰と付き合うかも自分で決められます。会社の組織で仕事をしていると人事異動や前任者の取引先といったしがらみに縛られます。自営の会社なら、嫌なパートナーや取引先とは付き合わなければ良いのです。逆に、ビジネスのためと割り切って付き合うのも自分の判断次第です。

自分で決めるということは、その責任を自分自身で負うことにもなりますが、無責任に社内でリスクをシェアし合っている組織にいるより精神衛生上は健全です。

理由3 ビフォータックスでお金の使い方を決める自由があるから

会社員は源泉徴収されて振り込まれたお金の中で自分の生活を組み立てていきます。これはアフタータックス(税引後)の世界です。自営業者は、入ってきた収入から会社の経費をコントロールするのも大切な仕事です。つまりビフォータックス(税引前)の世界になるのです。会社のオフィスをどこに借りるか、設備投資をどうするか、人を何人雇って給料をどうするか・・・。与えられたお金で生活するのではなく、経費を考えながら自分の手元にお金が残るように自分で設計していくことになるのです。

このように考えてみると、組織を離れて自営業になるということは、責任という負担を自分が全て負う見返りに自分で決められる自由を得る行為であることがわかります。だから、責任を取ることに腹をくくってしまえば、自由になった自分を再び不自由にする世界には戻れないのです。

2017年は日本にも働き方革命が起こるそうです。会社勤務の友人から相談を受けることも多いのですが、独立した方が良いといつもアドバイスしています。でも、そんな自由な自己責任の世界の競争が激しくならないよう、あまりたくさんの人に来てほしくないというのが本音です。

(今年になって同じお店でもう3回もカレーを食べてしまいました。中毒なのでしょうか。)

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所をはじめとする関連会社は、国内外の不動産、実物資産のご紹介、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2017年1月9日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。