「覚悟の対立軸」維新が煽っても小池さんはピンとこない

早川 忠孝

都庁サイトより(編集部)

自分がどういう立場にいるかで物の見方が自然に変わってくるものだが、有権者の圧倒的な支持を得ている行政の長と、常に激しい戦いの渦中にいて、もがいたり、掴み合いを繰り広げなければならない人とでは当然に見える風景が違ってくる。

大阪の方々は橋下維新の再来を東京の小池さんに求めているようだが、長らく国会議員を務め自民党に所属して環境大臣や防衛大臣、自民党の総務会長等の要職を務めてきた小池さんに橋下氏の役割を期待するのはちょっと無理筋かも知れない。

東京都知事に就任した小池さんは、もともと自民党に自分の公認を求めた人だから、あえて自民党との対立軸を作り出す必要がない。

判断を間違えたのは小池さんを排除しようとした人たちの方であって、しばしば党の要職にある人が公認候補の選定の過程で間違った判断をすることがあることはある程度は避けられない現象である。

あれは、時の執行部が判断を間違えただけ、と考えればいいだけの話で、小池さんが自民党に三行半を突き付けて自民党を飛び出したわけではないから、今の段階で小池さんに「覚悟の対立軸」を作れ、などと小池さんとはさして縁が深そうでない維新の国会議員の方が懸命に煽られても、多分小池さんには今一つピンと来ないはずだ。

小池さんには自分を一生懸命支えてくれた周りの方々を守る政治的、道義的な責任があるから、一生懸命彼らを守るために動かれるだろうが、だからと言って無理にこの段階で「覚悟の対立軸」を作り出さなければならないほどの越波詰まった状況にはなっていない。

小池さんは東京都の長だから、都民のために必要と信ずる政策を打ち出せばいいだけの話で、あえてこの段階で自民党との間に「覚悟の対立軸」を持ち出す必要はさらさらない。

むしろ、覚悟の対立軸が必要になるのは、都民の圧倒的な指示を得ていると思われる小池さんと対立、対峙する側の人たちだろう。

小池さんは、淡々とご自分の信じる路線を押し進めればいいだけの話だろう、というのが私の感想である。
ご参考までに。


編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2017年1月13日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。