歯科医に聞いた!歯周病に注意。健康は口のなかから

尾藤 克之
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講演前の森永宏喜氏。

世界に先駆けて超高齢化社会が現実のものになっている日本。誰もが長い人生を「自分らしく生きたい」と願っている。ところが現実はそう簡単ではない。食が豊かになりすぎたことで、罹患リスクは高まり「悩める晩年」が社会全体を巻き込んでいるからである。

今回は、歯科医師であり、米国抗加齢医学会認定医として「米国発、最先端の抗加齢医学を誰よりもやさしく語れる歯科医師」として活動をしている、森永宏喜(以下、森永氏)氏に話を伺った。

■ファーストフードがNGである理由

――忙しい現代人が簡単にエネルギーを摂る方法。それは精製度の高い食品を短時間で口にすること。ファーストフードが好まれている理由は、その手軽さにある。しかも、素早くカロリーが補給できて、その形状は柔らかく加工度が高いので、あまり噛まずに食べられる。

「よく噛まなくても味がする味付けも、不健康にひと役買っています。舌の表面には細かい突起やヒダがあり、味を感じる味蕾という感覚器はその奥にあります。食物がしっかりと噛み砕かれ唾液と混ざりあうことで初めて味を感じることができるのです。」(森永氏)

――食べ物の微妙な味を感じるには、しっかりと噛むことが必須になるが、柔らかく味が濃いファーストフードはその必要なし。むしろ、糖分や塩分などが過剰摂取になりやすい。

「HFCS使用の甘いドリンクをセットにしたら、さらに健康を損なうことになります。HFCSは『異性化糖』『ブドウ糖果糖液糖』とも呼ばれています。HFCSが使われたドリンクは病気のリスクを上昇させるという調査結果もあります。」(森永氏)

「南カリフォルニア大学の研究では、HFCSの水溶液を大量に摂取した若いラットが記憶障害と脳の炎症を起こし、糖尿病一歩手前の状態になることが明らかになっています。」(同)

――清涼飲料水やインスタント食品など、加工食品に多く添加されているリンも、過剰摂取は要注意とのことだ。大人よりも子どもにより深刻な影響が出る危険性が高い。

「この報告は抗老化遺伝子として注目されるクロトー(Klotho)遺伝子が欠損したマウスは短命で、皮膚、生殖器や筋肉の萎縮、肺気腫、骨異常、大動脈や全身の石灰化など様々な早発性老化が見られるというものです。リンの過剰摂収は、老化を促進するという報告も見逃せません。」(森永氏)

「クロトー遺伝子が欠損したマウスは、血清のリン酸値が非常に高いことがわかっていますが、このマウスを治療しリン酸値を正常にしたところ、これらの病変がほとんど改善したそうです。そして、高リン酸値の食事を与えると、病変が再現されたことから、リンの過剰摂取が老化を促進することが裏付けられています。」(同)

――厄介なことは、国が定めた表示義務は成分が分解されていれば、表記義務がないことにある。「異性化糖」「ブドウ糖果糖液糖」は原材料を分解していることから、遺伝子組み換え等の表示義務はない。米国では、肥満や糖尿病などの原因となり健康を脅かすことから使用禁止運動が広がっている。

「また、ファーストフードやコンビニの加工食品の油脂は、酸化している危険性が大きく、摂取すると体内で活性酸素が発生しやすくなります。ファーストフードの摂りすぎには注意が必要です。」(森永氏)

■歯科は健康のゲートキーパーである

――歯が減り食べ物が噛みにくければ、栄養の摂取に問題が出てきて、全身の健康に彫響してくることはいうまでもない。さらに怖いことには、口内の不健康は万病のモトになる。

「口腔の機能が生活習慣、食習慣と相まって全身の健康維持に関わっているという研究成果に注目が集まっています。しかも、異常が表れる前の『未病』状態で歯科が関与すれば、病気の発症を未然に防げる見込みが大きくなってきたのです。医療・福祉政策もこの方向性に大きく舵を切りつつあるので、歯科がゲートキーパーという潮流は加速していくのではないかと思います。」(森永氏)

――油断して、将来を後悔することにならないためにも、「歯と口の健康」がいかに大切か、改めて認識する必要性がありそうだ。

参考書籍
全ての病気は「口の中」から! 』(さくら舎)

尾藤克之
コラムニスト

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