【映画評】NERVE/ナーヴ 世界で一番危険なゲーム

地味な女子高生ヴィーは、勢いで始めたオンラインゲーム“ナーヴ”に挑戦する。そこでヴィーは、同じプレイヤーで魅力的な男性イアンと知り合う。課題克服型のナーヴは、最初は少しのスリルを味わう程度のものだったが、次第にミッションはエスカレートし、暴力性を帯び、生死をかけたものに変貌していく。課題をクリアするたびにポイント(賞金)を手にし、大胆になっていくヴィーだったが、イアンの意外な顔があらわになり、親友との友情にもヒビが入ってしまう。それでもナーヴにのめり込むヴィー。生き残る道は、危険なミッションをやり遂げるしかなかったが…。

危険なオンラインゲームを通してネット社会に警鐘を鳴らすサイバー・サスペンス・スリラー「NERVE/ナーヴ 世界で一番危険なゲーム」。ネット依存や匿名性、モラルの欠如など、この映画が言わんとすることは実にわかりやすい。その意味では目新しさはないのだが、スマホを片時も離せない生活や、ユーチューブやSNSへの依存などは、他人事ではない人も多いはずだ。地味で目立たない女の子が、注目され人気者になることで快感を覚え、賞金を得て、大胆に変化するという設定も“あるある”だ。映像や音楽などはスピード感が満載で、描き方が非常に刺激的なので、若者たちの共感も得やすいだろう。オンラインゲームの中の世界を青と紫の色彩で表すのもスタイリッシュでいい。最初は、知らない人とキスをする、高級服を試着するなど、他愛無いものだった課題が、やがて命がけの領域へ。無責任な要求でエスカレートする視聴者は、匿名性を帯びているだけに、他人の不幸を娯楽としてとらえる危険なネットユーザーなのだ。参加型ゲームはすでに現実世界でも大人気。映画は極端な世界を描くが、私たちは案外この危険なナーヴのすぐそばにいるのかもしれない。
【60点】
(原題「NERVE」)
(アメリカ/ヘンリー・ジュースト、アリソン・シュルマン監督/エマ・ロバーツ、デイヴ・フランコ、エミリー・ミード、他)
(同時代性度:★★★★★)


この記事は、映画ライター渡まち子氏のブログ「映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評」2017年1月17日の記事を転載させていただきました(アイキャッチ画像は公式Facebookより)。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。