DC EXPO2016

Innovative Technologies 2016@DC EXPO@科学未来館。
特別賞選考委員として参加しました。今年は昨年に比してIoT & AI色が濃く、ワクワクしました。
選考委員特別賞「8K:VRシアター」
 NHKメディアテクノロジー / NHKエンタープライズ
270インチ3D映像と22.2ch音響でのライブ体験。目の前に等身大のサカナクションが演奏する。これは「観る」ではなく「居る」メディア体験。
2020Tokyoは8Kのパブリックビューイングが来ているでしょう。この日本発メディア体験を早く広めていきたい。
Human賞「失禁体験装置」
電気通信大学 ロボメカ工房VR部隊失禁研究会
水流、温度、膀胱の圧迫、振動等を通じあたかも失禁したかのような体験ができるシステム。推しました。このポップさを実現し、それをマジメに評価するのが日本の魅力。「失禁感」という新語も好き。
 
開発した学生たちは、「失禁という言葉を舘先生に言わせるのが目標」と言っていたが、先生がステージで何度も言っていたので、目標クリア。
 
Culture賞「AIによる白黒写真の自動色付けシステム」
早稲田大学 基幹理工学部 石川研究室
ディープラーニングを用いて白黒写真をリアルタイムでカラーに自動変換。学習が深まるほど正確な色付けに。大学の研究が実用に達する好例。
 
Industryの受賞はありませんでした。それはどれも粒よりで、票が割れたから。ぼくがピクッときた技術をピックアップしていきます。コレは実際には曲がって歩いているのにまっすぐ歩いていると感じさせるVR技術by東大+ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン。
 
「Concept 4D Tracker」by コンセプト+データスタジアム
画像認識(カメラ2台)のみで3次元位置を計測、リアルタイムでボールの軌跡やスピードなどを表示する。スポーツのIT化とIoT化を実装して2020Tokyoに役立ちそう。
LINEやTwitter上のおしゃべりボット、女子高生AI「りんな」。この日本ぽいAIをマイクロソフトが作ってるのが面白い。会場デモ中、ぼくもスマホでりんなに「いま見てるよ」と打ったら「信用できひんなー」と京都弁で返されましたw
きまぐれAIプロジェクト「作家ですのよ」。星新一のようなショートショートをコンピュータに作らせる。人とAIが二人三脚で創作するもの。
 
「8K Time into Space」by NHK/MIT Medialab
8K画面でテレビ番組や映画など一つの映像を何百個もの動画に時分割し、その全てを同時に再生。それぞれの動画の細かい部分まで明確に観ることが可能。メディアラボはリップマン教授が担当。リップマン、元気!
「fVisiOn:全周360度から観察可能なテーブル型メガネなし3Dディスプレイ」by NICT。平らなテーブル上にバーチャルな3D物体が浮かぶように表示。テーブルを囲むひとが全て見ることができる。
 
「ホログラフィックウィスパー」by ピクシーダストテクノロジーズ。
多数の超音波振動しを個別に制御して焦点を結ぶ。何もない空中に「点」音源を配置する。レーザーのように線で音を飛ばす指向性スピーカーはあるが、「点」でささやく音は、面白い応用が考えられます。
これ、落合陽一さんの会社なんですよね。毎度びっくりするものを見せてくれます。
「TABO」by バスキュール+プログレステクノロジーズ。
タブレット上で動く小さなロボット。スクリーン表現とロボットとを組み合わせてプログラミングを学ぶ。バーチャルとリアルの垣根を乗り越えるプログラミング学習環境。かねてから注目してました。
 
「Sky Magic」by マイクロアド。
数百台の自律制御ドローンを編隊飛行させてLEDの巨大ディスプレイを空中に作る。第一弾デモは富士山を舞台に25台を飛ばして実施。ぼくらも11/26のKMDフォーラムでもドローンで見せる光アートをプレゼン予定です。この世界、広がりそう。

編集部より:このブログは「中村伊知哉氏のブログ」2017年1月19日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はIchiya Nakamuraをご覧ください。