日本経済新聞の名物連載は文化面に掲載されている「私の履歴書」です。各界の著名人が1か月に渡り自分自身を振り返る自叙伝のような内容。現在はルノー・日産を率いるカルロス・ゴーン氏が書いています。
ゴーン氏はフランスのエコール・ポリテクニーク(École Polytechnique)というエリート養成校を経て、1978年にパリ国立高等鉱業学校((École des Mines de Paris))で工学博士号を取得。ミシュランを皮切りに大企業で実績を上げて、現在のポジションまで登りつめました。
グローバルに活躍する経営者であると同時に、最近の連載では家庭を大切にして、4人の子供を経済的に自立させるまで育てあげた理想的な親であることも明らかになっています。非の打ちどころのない完璧な人生と言って良いでしょう。
何とも羨ましい限りですが、私が魅力を感じる私の履歴書の書き手は、このような有名大学を出て、順調に仕事で実績をあげて成功を収め、家庭も円満といったパーフェクトな人ではありません。むしろ、欠点だらけの黒歴史があって、破天荒でジェットコースターのような人生を歩んできた人です。
最近、同コーナーに登場した経営者なら、何と言ってもこちらのブログで紹介したニトリ社長の似鳥氏です。
こんなことが書いてありました。
「登校時は学校へ着くまで長い竹ざおでつつかれまくる。いじめられてもいつもニタニタしているので「ニタリくん」と呼ばれていた。」
「通信簿も5段階の1か2ばかり。母には「1が1番良くて、5が最低」とウソをついていた。それがなぜか長い間ばれなかった。何も知らない母は井戸端会議で「うちの子は1とか2ばっかりで優秀なんだ」と自慢をしていた。」
「試験科目は英語と経済学。そこでカンニングを思いついた。」
「なんとしてでも2年間で卒業しないといけない。そこで教授を褒めたり、ワインを届けたり、できないなりにあらゆる努力を尽くし、単位取得に動いた。」
「契約も取れないまま。ノルマが達成できない他の新入社員は相次ぎ辞めさせられた。私も解雇の対象だが、一つだけ生き残る道を見いだした。花札だ。」
フランスのエリート校から大企業に入った人と、カンニングと貢ぎ物で北海道の名もなき大学をギリギリで卒業して、うだつの上がらない営業マンをやっていた人。ニトリの社長の20代までの体験は、今や増収増益を続ける企業のトップとは思えない壮絶な体験です。そこから、どうやって好調な経営を続ける企業トップになったのか。「短所あるを喜び、長所なきを悲しめ」という座右の銘にそのヒントが隠されています。
失敗をしたことが無い完璧な人生を歩んできた人よりも、回り道をして試行錯誤しながら努力を続ける不器用な人に魅力を感じてしまう。その理由は、自分自身にも欠けていることがたくさんあると自覚しているからこそ、不完全な中でもがいてきた人に対して、同士的な共感を感じるから。そんな風に自己分析しています。
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編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2017年1月30日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。