こんにちは。東京都議会議員の川松真一朗(墨田区選出・都議会自民党最年少)です。
さて、千代田区長選挙が日曜日に迫り、各陣営もヒートアップしてきました。私と同世代で現職に挑む与謝野候補ですが、どうしても「代理戦争」という言葉が出てきてしまいます。千代田区民不在の各所での熱狂が真に住民自治となるのか一抹の不安を感じています。今日は少し長くなる事だけお許し下さい。端折ると本質が見えなくなるので。
代理戦争
これは「代理戦争だ」「代理戦争でない」という言葉が飛び交う事だけで、既に「代理戦争」という土俵に乗っており、かく言う私も使ってしまっているのです。この流れは止められません。しかしながら、そこに付随して多くの情報も乱れ飛んでいますが、公職につかれる方が書くブログがアゴラに掲載されました。「千代田区長選、与謝野氏当選ならドン勢い。特別区にも影響。」新宿の現職議員の方が書かれていますが、このポイントについては、地方自治に携わり、都区制度改革に取り組む者として、一言触れておかねばならぬだろうと思い、今日はこの点について書きます。
東京の自治のあり方を考える
上記ブログによれば「内田茂さん=守旧派」という構造になっています。都区制度改革の論議では内田さんは最大の改革志向だと私は認識しています。実は、小池都知事就任してまもなくの都議会本会議で私は「東京の自治のあり方・機構のあり方」を聞きました。過去のブログ 東京の自治のあり方。(小池知事に聞く) を参照して下さい。私が都議会議員でいることの最大の使命は都民益の追究であり、23区特別区制度は既に古いものになりつつあり、現代にマッチしたベストな自治のあり方を探り続けています。
行財政改革特別委員会
その中で、私の地元選手であった山本賢太郎先生が委員長としてまとめた「行財政改革基本問題特別委員会 調査報告書」が2004年9月22日に出されているのですが、実はこれ以降は抜本的な都区制度改革論議は進んでいません。後世に残していくべき最高の首都・東京の自治体制について自らがバッジをつけている間に整備していきたいと、過去の議事録等を読み込んで参りました。
さて、この行財政改革基本問題特別委員会での内田発言が都政人として私がハッと気付かされたものばかりなのです。平成11年議事録(1999年10月14日)を探して下さい。
本来であれば行政改革となるネーミングもこだわりをもって「行財政改革」とした事について、「いわゆる地方自治のいろんな意味での努力による分権によって、この東京問題を片付けていきたい、それから、中長期的な形の中で、ある意味では総論を踏まえて基本論をやっていきたい、こういう形で当委員会が発足したということであります」と発言されています。
さて、前述の伊藤区議のブログでは23区特別区が「都の内部団体」から「市と同様の基礎的自治体」に変化してきた事が書かれていますが、ここがポイントです。地方自治法が改正されて「特別区」が「都の内部団体」から「基礎的自治体」になり、都区間における財政調整制度が明文化されたのは2000年(平成12年)4月の事です。正に上記の議論の最中であり、内田さんは推進してきたメンバーの1人です。
更に、さかのぼること、平成5年(1993年)の予算特別委員会で内田さんは東京都にこう迫っています。
「23区を憲法で保障する基礎的自治体として位置づけ、これらの連合制、道州制への道程とするべきと考えますが、いかがでしょうか?」
「地方分権は国あるいは民間において議論されておりますが、地方自治体からの議論は必ずしも十分ではありません。こうした議論は、地方の側からこそ、中でも地方自治の生みの親である鈴木(俊一)知事が全国をリードして問題提起していくべきであると思いますが、改めて地方分権の推進についての決意をお伺いいたします。」
内田さんは「改革派」
伊藤区議のブログに「都区改革が推進されることで、一部の利権を握った都議会議員が権力を握ることもなく、改革を推し進めることができるのです。」とあります。これを基に論ずれば、本人も期せずして内田茂さんは改革派として利権を握った都議会議員を倒そうとしてきた都議人生にお墨付きを与える事になりました。補足ですが、内田さんは昔だけの話ではなく、今でも常々主張されています。
千代田市構想
そして、千代田市構想は当然区長としての石川さんの発信は目立ちますが、私は何度も内田さんから言われていて、これを地元で触れて先輩区議に怒られた事があります。千代田区は裕福だから特殊な事例なんだぞって。内田さんと膝を突き詰めて、千代田市構想を論議した事が一度あり、東京の中心としてもっと23区全体に大きな利益をもたらす事が出来るはずだと話されていました。もし仮に、石川区長が4期20年の間に構想の提唱だけでなく、本気で腰を上げて動いていたら23区のあり方は変わっていたかもしれません。むしろ、諸手を挙げて内田さんは石川区長の改革を協力に後押しをされたのかなと考えます。
私は、この千代田区長選挙で下記のようなツイートした事に批判も頂くのですが、今日のブログのような経緯をもって、私は千代田区にとって何が大切なのかを多くの人と問題を共有し、明日の東京を語り合いたいと考えています。
千代田区長選挙が「代理戦争」とされてメディアが取り上げる事で一番不幸なのは千代田区と区民の皆様方。まとまな政策論争が出来なくなり争点が見えにくくなる。基本的に現職区長の勝率がほぼ100%と言われる中で、今回は世代交代、多選による区庁舎内の硬直化を防ぐのが重要テーマだったのに。
— 川松真一朗(東京都議会議員・墨田区) (@kawamatsushin16) 2017年1月29日
私自身理解しづらいのは改革を訴える41歳の新人が守旧派のように扱われ、5選目を目指す75歳の現職が改革派のように扱われる事。「代理戦争」という誰が言い出し、どこに実態があるか分からないワンフレーズにこの区長選の背景がどこかに飛んでしまっている事に違和感。
— 川松真一朗(東京都議会議員・墨田区) (@kawamatsushin16) 2017年1月29日
そして、私自身、墨田区長選挙に出馬し財政再建するにはそれぞれに自治体が課税自主権も持ち大胆な政策遂行することだと訴えました。だからこそ、地方自治のあり方への思い入れは私なりの視点を持っているから余計に思うものです。
編集部より:このブログは東京都議会議員、川松真一朗氏(自民党、墨田区選出)の公式ブログ 2017年2月2日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、川松真一朗の「日に日に新たに!!」をご覧ください。