「武力衝突」と「戦闘」との使い分けの可否

稲田@南スーダン

昨年10月、南スーダンを現地視察していた稲田防衛相だが…(防衛省サイトより:編集部)

あれは武力衝突で、法律用語としての「戦闘」には当たりません、私は戦闘とは呼びたくありません、などという説明でどれだけの国民が納得されるかは疑問である。

あえて「戦闘」とは呼びたくないという気持ちはよく分かるのだが、武力衝突と戦闘との間にどれほその異同があるかと問われれば、まあ、同じようなものでしょうね、と私なら答えてしまいそうだ。

塩と砂糖ほどの違いはない。
砂糖とサッカリンほどの違いもない。

まあ、カレーライスとライスカレーのようなものだ。
同じだと言えば同じ。呼び方を変えているだけだ、ということになる。
カレーライスとライスカレーの違いを得々と論じられても、要するにあなたは「戦闘」とは呼びたくないと仰っているだけでしょう、ということになる。

さて、問題はこれからである。

組織犯罪集団とは、どういう団体なのか。
組織犯罪集団という団体の存在が広く認知されているのであればあれこれ詮索しないでも済むだろうが、組織犯罪集団の法律上の概念が相当程度明確になっていないと、同じような団体なのに一方は犯罪組織集団となり、もう一方の方は犯罪組織集団には当たらない団体ということになる。

市民団体は犯罪組織集団には当たりません、市民団体にはテロ等準備罪が適用されるような虞はまったくありません、などといくら言われても、本当にそうか、ということになるとどうしても一抹の不安が拭えない。

どなたが組織犯罪集団と判定するのですか、その判定の正しさは誰が担保してくれるのですか、という話になってくる。

私は組織犯罪集団という難しい法律用語は使いません、使いたくありません、などと言っても、捜査当局が犯罪組織集団だと認定してしまえばそれで終わりになるんじゃないですか、組織犯罪集団に該当するかどうかについての認定を争う仕組みは出来ているんですか、もし間違って一般の市民団体を組織犯罪集団として認定してしまった場合、ちゃんとその救済措置は用意されているんですか、そもそも誤った認定が行われないような仕組みはちゃんと考えているんでしょうね、という話になってくる。

報道を見ている限りでは、そういう話がどこからも出てこない。
どうもテロ等準備罪の肝はそのあたりになりそうなのだがな、と思っているが、自民党の中でそういうあたりのことを勉強していそうな人がいないのが少々心配である。

皆さん、大丈夫ですか。
問題の所在は、分かっておられますか。
そう、お聞きしたいところである。

そういう心配は一切無用です、などと、どうも法律の運用の実際をご存知ない方が断言されても、そう簡単には安心できない。

問題、分かっていますか?
聞こえていますか?


編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2017年2月9日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。