日刊ゲンダイの記事だから揣摩臆測の類だろうな、と思ってはいるが、自民党の都議会議員の中には本当に石原さんから抱きつかれてしまうのを恐れている人がいるかも知れないので、石原抱きつき作戦を無効化する方策について考えておきたい。
ここで言う抱きつき作戦と言うのは、豊洲移転を承認したのは都議会議員の貴方たちで、私に責任があるというのなら都議会議員の貴方たちにも責任があるということになるのではないか、と石原さんが逆襲してくるのではないか、ということだ。
まあ、それはそうだな、と思う節がないではないが、一般的には当局側が大事な情報を都議会に提供していなかったら都議会としては正しい情報に基づいて正しい判断をすることは不可能だろうから、一義的には行政当局側が大事な情報を都議会側に提供していたかが問題になる。
行政当局側が意図的に大事な情報を隠蔽した事実があるかどうか、をまず確認すべきだろう。
豊洲移転問題についてそういう類の、大事な情報の意図的な隠蔽があったとは考え難い。精々が大事な情報だと思わなかったから言わなかった、聞かれなかったから言わなかった、ということになるのだろう。
都議会側で本当のことを知っていたら別の結論になったはずだ、ということも確認しておく必要がある。たとえ本当のことが分っていても結論は同じになっていた、というのでは、その「本当のこと」は豊洲移転の可否についての結論を左右するような「大事な話」にはならないからである。
石原都知事時代に石原与党を標榜していた都議会議員の皆さんはどうしても矛先が鈍るだろうが、なんだか追及が甘いな、と思われたら折角の晴れ舞台が台無しになるだろうから、そういう心配がある方は百条委員会という晴れ舞台を他の議員に譲られたらいい。
ドンと言われる方もその周辺におられる方も、皆さん、遠慮されるはずである。
石原さんが抱きつこうとしても、肝腎の抱きつく相手が一人も登場しないということになったらさすがの石原さんも為す術がない。
石原さんは、豊洲移転は前任者が決めた、細かい事務作業は担当者がやっていて自分は何も知らない、詳細は担当者に聞いてくれ、などとあれやこれや言い逃れようとするかも知れないが、その程度の弁解ではとても世間は納得しない。
大方の人が納得する程度まで、とにかく事実の解明に徹することである。
事実をとことん解明してから、改めてその事実をどう評価するかを考えればいい。
予断を持たないで、ただ素直に本当の事実を解明すること。
求められているのは、ただそれだけだと思う。
何も恐れることはない。
編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2017年2月28日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。