豊洲議論幕引きの頃合いとネットメディアの台頭

尾藤 克之

写真は参考書籍書影

最近、アゴラでもお馴染みのおときた議員のキレが弱いように感じている。昨年来から、小池都政誕生に腐心し千代田区長選の勝利も引き寄せた。医学デマサイト「WELQ」の追及も見事だった。都の健康安全部に働きかけて、キュレーションメディアの問題点を浮き彫りにした。しかし昨今は豊洲議論に翻弄されて論理的な整合性に欠けているように思う。

そもそも、豊洲では地下水利用はない。それを口実にして焦点が当てられたため精査に時間がかかり長引いている。必要以上に安全性を煽るのも理解に苦しむが各々の立場がわからなくもない。異を唱えれば「反小池」のレッテルを貼られてしまう。そうなれば「小池知事への抵抗勢力」とされ、厳しい選挙を余儀なくされる。

いずれにしても、どのように物事が進むのか、この問題の決着点は未だ見えないものの、国民の関心は森友学園の方へ移りつつあるようだ。推移を見守りたい。

ネットメディアの台頭を予感する

最近、TVを見なくなった。「なぜ若者はテレビを見なくなったのか」という議論があるが、若者に限らず見ない層は大幅に増えたように感じている。番組自体の内容が薄くなったことも理由だが、結論が見えにくい番組が増えた。相変わらず、芸能ネタは人気なのかも知れないが内容が偏りすぎている。知名度のないタレントの番宣みたいな番組も多い。

一方、見る機会が増えたのがニュースメディアである。ニュースメディアも編成側の志向性によって様々だが、表に出てこないクローズ情報を入手する機会につながることが多い。例えば、冒頭でも紹介したような政治の流れは、表の地上波で放送される数日前には、ネットニュースや各政治家のSNS等で入手可能である。

この流れは、昨年以降のネットメディアの潮流であろう。特に、都知事選、参議院選、その後は蓮舫氏の二重国籍疑惑を追及したことでその位置づけに注目が集まった。いま、話題の書籍がある。アゴラ編集長の新田哲史氏が上梓した『蓮舫VS小池百合子、どうしてこんなに差がついた? 』である。

新田氏は、メディア(発信する側)と受信する側とに分類し、高度化する政治やビジネスの「世論ゲーム」のテクニックに翻弄される恐れがあることを警鐘している。継続的に取り上げられる情報の思惑に世論を誘導されかねない。その一つが、かつての小泉劇場であった。

小泉劇場とは2005年の衆院選にともなう政局のことを指す。小泉総理は民意を問うとして造反者に対して対立候補を擁立する刺客戦術がとられた。こうした政局はテレビ等を通じて政局をゲームを見るような感覚で視聴していた。

争点を郵政民営化に賛成か反対かにしぼることで、まずは反対者を斬って捨てる。一般大衆にも善か悪かという極めてわかり易い構図で迫った点も明快だった。野党は郵政民営化以外の争点を見出したかったが失敗に終わったことは記憶に新しい。

アゴラ3000万PVのノウハウを凝縮

本書は政治経済をジャンルとするノンフィクションである。しかし、堅い政治経済の内容とは異なる。アゴラの昨年同時期のアクセス数(月間)は、単体で300万PV、Yahooニュース等への配信分も含めても全体で700万PVほどだった。それを新田が編集長就任以降は、1年を経ずに、単体1000万PV、全体3000万PVを実現している。

政治経済に関心のある方にはもちろん、ネットメディアに関わる方にも参考になることだろう。ネットビジネスに関わる多くの人に参考にしてもらいたい。

参考書籍
蓮舫VS小池百合子、どうしてこんなに差がついた?

尾藤克之
コラムニスト

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