仏大統領選中道マクロン独走でルペン沈没

フランスの大統領選挙で中道左派マクロン前経済相=写真、Wikipedia(編集部)=が左右に支持を広げ、ついに第一回投票でルペンを抜いてトップにたった。上位二者の決選投票でも60%を超える得票が見込まれている。

最新の世論調査では、第一回は中道左派マクロン26%、極右ルペン25%、中道右派フィヨン20%、社会党アモン13%、左派党メランション12%。アモンとメランション合計してもマクロンより下だ。

マクロンはENA出身の会計検査院官僚、ロスチャイルド銀行に天下り、オランド大統領のもとで経済相をつとめたが、辞任して左右両派を糾合した新しい道を主張して立候補した。社会党と共和党がそれぞれ予備選を実施したが、社会党はベイシックインカムを主張するアモン元厚相、共和党が右派親ロシアのフィヨンとそれぞれ極端な候補を選んだので漁夫の利を得ている。

社会党内ではドラノエ・パリ市長がマクロン支持を表明。ロワイヤル環境相(オランド大統領の前妻、前々回の大統領候補)、ルドリアン外相、エロー元首相が続くことも確実視。サパン蔵相も加わるか。カズヌーブ首相、バルス前首相(スペインからの帰化人だが結局は帰化人としての壁を打ち破れず予備選で敗退)、オランド大統領も社会党予備選で勝ったアモン氏を支持する気配はない。生煮えのベイシックインカムが公約のアモンでは勝てるはずないし、賛成も出来ないとの雰囲気。

共和党ではリベラルなジュペ元首相と右派のサルコジ元大統領を破って候補となったフィヨン元首相が夫人を架空雇用で公設秘書にしていたというペネロープ事件で沈没。候補をジュペ氏に差し替える動きもあったがジュペ氏は断り、かつ、フィヨン支持をしないと言明。フィヨンはサルコジ派の支持を確保して立候補辞退は拒否。

ルペン氏もEU議員秘書として雇った秘書に党の仕事をさしたとして訴追へということでお悩み。しかも、右派色の強く親ロシア派のフィヨンが共和党候補になって互いに票を食い合う。しないとしたものの、フィヨン攻撃をつつけており支持はなさそう。

中道派群小政党もマクロンへの合流を模索。もしかするとマクロンの地滑り勝利もありか。しかし、クロンが勝つとあれだけ評判が悪いオランドの経済相だった社会党政権から大統領が再び出るという皮肉なことになる。

ひるがえって、日本では細野豪志などまっとうに中道政治をめざせば良いものを、天皇陛下を政治利用して「玉座をもって胸壁となし」とかと思えば「静岡知事選挙に色目を使う」など何をやってるやら。長島さんあたり日本のマクロンめざしたらと思う。

追伸;EU大統領選挙はトゥスク大統領が再選。27対1。満場一致にならなかったのは、母国であるポーランドが反対したという珍事(大統領は母国では野党)。ポーランドはボイコットもあると激怒。欧州情勢もますます、怪奇。ベルサイユでは仏独伊にスペインを加えて四カ国会議。スペインが主要国として扱われたのはユトレヒト条約以来初めてか。スペイン国民は有頂天。

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