「勉強しても、身についている気がしない」「勉強しているのに、ちっとも効果を実感できない」「勉強しているのに、全く自己成長につながっていない」「勉強しても、社内の評価も給料も上がらない」。こんなふうに思ったことはないだろうか。
精神科医、作家として、精神医学や心理学の情報を発信している、樺沢紫苑(以下、樺沢医師)は、「日本で最もインターネットに詳しい精神科医」として、雑誌、新聞などの取材やメディア出演も多い。今回は、「正しい勉強法」について伺った。近著に『ムダにならない勉強法』(サンマーク出版)がある。
■あなたが英語を話せるようになりたい理由
――あなたの周りにも英語を勉強している人はいないだろうか。「英語を勉強する目的は?」と質問すると、「英語が話せたほうが、将来、何かと便利じゃないかと思って」と漠然と答えている人が。
「『なんとなく上達したい』という目標であれば、なんとなくしか上達しません。ハワイに旅行に行くので、買い物やレストランで困らないようにしたい。外国から来るクライアントに堂々と対応したい。国際会議で講演したい。アメリカの大学を卒業して就職したい。それぞれの目的によって勉強法は全く異なってくるはずです。」(樺沢医師)
「どうなりたいのか? そのなりたい姿をありありとイメージすれば、そこに至るために、何を勉強すべきか最適の勉強法が見えてくるはずです。」(同)
――なんとなく「英語がしゃべれるようになりたい」では、何も身につかない。勉強する場合は、「目的」「目標」を詳細に決めて明確にイメージすることが大切なのだろう。樺沢医師はこの方法を「成功の最短経路を検索する『経路検索勉強法』」と称している。
「電車の経路検索、乗り換え案内を利用している人は多いと思います。現在地と目的地を入力するだけで最短時間で目的地に到達する電車の路線と乗り換えの駅など、瞬時に案内してくれる、便利なサービスです。ほとんどの人は、スマホやパソコンで『経路検索』をして、目的地への行き方を確かめてから電車に乗るはずです。」(樺沢医師)
「勉強も同じです。現在地は、自分の現状・実力のことです。自分の長所や短所を洗い出すことも含まれます。今の自分が、どれだけ知識を持っているのか。それが『現在地』です。『目的地』は勉強の『目標』です。勉強をすることで、どうなりたいのか、獲得した知識をどのように活用するのか、ということも含まれます。」(同)
――「現在地」と「目的地」がわかれば、どうすればたどりつけるのか「経路」が見えてくる。「経路」が、勉強法にあたるが、分かりやすい表現ではないかと思う。
■目的地を明確にしない人が多い実情
――事実、目的地(ゴール)を明確にしないまま、勉強をスタートする人がほとんどではないか。それでは、いつまでたっても目的地に到達できない。
「ゴールがわからなければ、勉強法は決まらない。ゴールがわかれば、勉強法も決まる。だから、勉強を始める前にゴールをきちんと設定して、勉強法を見極めましょう。目的地を決めずに電車に乗る人はいません。ところが勉強の世界では、目的地がわからいのに電車に乗っているだけの人が多いのです。」(樺沢医師)
「さきほどお話した、『経路検索勉強法』の真逆ともいえるのが『とりあえず勉強法』です。とりあえず英語を勉強しておけば、いざというとき役に立つ。とりあえず、FPの資格をとっておけば、いつか役に立つかもしれない。『とりあえず勉強法』をする人は多いですが、これこそがやってはいけない『ムダの多い勉強法』です。」(同)
――本書は、このような様々なケースを使いながら、わかりやすく勉強法について解説している。正しい勉強法に関心のある方には参考になることだろう。
参考書籍
『ムダにならない勉強法』(サンマーク出版)
尾藤克之
コラムニスト
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