「金持ちと貧乏人を分断する決定的な意識差」に感じた違和感

人生の成功の秘訣というテーマでBLOGOS(ブロゴス)に投稿された記事が話題になっています。「金持ちと貧乏人を分断する決定的な意識差」という挑発的なタイトルですが、金持ちは努力や学歴を大切だと思い、貧乏人は人脈や狡猾さが成功に大切だと考えているという結果になっています。

しかし、この記事に掲載されていたグラフ(写真)を見ても何だか違和感が残ります。調査方法が明示されておらず、どのような人たちを対象にしているか不明ですし、金持ちや貧乏人といった定義も不明です。

また、筆者自身も既に指摘しているように、この調査結果は原因と結果の因果関係を示しているというより、単なる事後的な感情に基づく自己分析になっている可能性も高いと思います。

人間はうまくいったことは自分の能力だと思い、うまくいかないことは周囲の環境のせいにする傾向があります。成功して金持ちになった人に聞くと、その要因は自分の努力や才能だと考え、経済的にうまくいかなければ、それを人脈や狡猾さといったネガティブなものにしがちだからです。

私は経済的な成功は、「リスクとリターンの関係」と「大数の法則」を理解した人が実現できると思っています。

資本主義社会においてはリスクを取らなければリターンはありません。「ノーリスク、ノーリターン」なのです。これは仕事でも投資でも同じことです。しかし意味のないリスクを取ってもリターンにはつながりません。どこでリスクを取るべきかを知るために必要なものが、努力であり、人脈であり、学歴でもあると考えることができます。

と言っても、どのリスクが取るべき価値があるものかは、事後的にしかわかりません。

そこで次に重要になるのが、成功の可能性の高いと思うリスクをたくさん取ることです。これは「大数の法則」によって説明できます。数多くの試行を重ねることにより、理論上の確率に近づくことができ、成功の可能性を高めることができるのです。

宝くじのように一発当てて大成功するような人もいないわけではありません。しかしそれはほんの一握りのラッキーな例外です。多くの人が経済的な成功するためにやるべき事は、意味のあるリスクを見極め、それを数多く実践していく勇気です。

経済的な成功のために必要な要因を統計的に見い出すのは簡単ではありません。それがわからないから多くの人は様々な成功本を読み、試行錯誤しているのです。

だとすれば、それよりも成功者と思われる人とできるだけ接点を持ち、そこに共通する何かを真似るようにするのが現実的に最も効果的な成功へのアプローチだと思います。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所をはじめとする関連会社は、国内外の不動産、実物資産のご紹介、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2017年4月5日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。