不倫に走る男性とは ?

荘司 雅彦

写真はイメージです(「ぱくたそ」より:編集部)

以前、「不倫をするのはデキる女???」について書いたところ、「不倫をする男について書いてほしい」というご要望がありました。それに対し、「不倫をするのは男の性(さが)、自分の遺伝子を広範囲に撒き散らすことが最適戦略だから」と即座に回答してしまいました。

しかしながら、現代社会においてはそれほど単純ではないと考え直すに至りました。
そこで、不倫に走りやすい男性について考えてみたいと思います。

まず、ラットで実験した「クーリッジ効果」というものをご紹介します。オスのラットとメスのラットを一緒に入れておくと、オスのラットは最初のうちは頻繁に後尾を求めるのですが、そのうち求めなくなるようになります。
そこに新しいメスのラットを入れると、オスは新しいメスに対してしきりに後尾を求めるようになります。

オスにとって、複数回後尾したメスには自分の精子が十分注入されたので、それ以上後尾するのは体力の無駄使いです。新しいメスに自分の精子を注入して遺伝子の拡散を図るのが本能的な行動だそうです。

「家庭内に仕事とセックスは持ち込まない」とうそぶく男がいるそうですが、もしかしたら「クーリッジ効果」で説明できるかもしれませんね。このように、生物学的には男性は多数の女性とセックスをしたがるものであり、それゆえ風俗産業が栄えているのです(売春婦は世界最古の職業だと言われています。ちなみに、世界で二番目に古い職業は国王です)。

しかし、男性にとってのセックス相手はどんな女性でもいいという訳ではありません。生物学的に男性がセックスの相手として選ぶ女性は「健康な子供を産んでくれそうな女性」です。その際たる特徴は「若さ」と「女らしさ」だそうです。

健康な子供を産むための要素としての「若さ」は最近世間でも話題になっているのでご存知でしょう。
では「女らしさ」とは何なのでしょう? マシュー・ハンテンステインの著書によると「ウエストとヒップの比率」が「女らしさ」大きな要素だと書かれています。

ヒップの脂肪が胎児に栄養を与えるのに対して、ウエストの脂肪は胎児を圧迫するからだという理由です。西洋先進国の男性にとって好ましい「ウエスト・トゥ・ヒップ・レシオ(WHR)は、0.7以下とのこと。著名人では、マリリン・モンローが0.67、オードリー・ヘップバーンが0.59となっています。

以上をまとめると、妻と十分なセックスを重ねた男性は、できることなら「若さ」と「女らしさ」を備えた他の女性とセックスしたがるというのが生物学的な結果です。

そこで、次に、現代社会ではどのような男性が不倫に走りやすいのかを検討したいと思います。
まず、女性から拒絶されれば、当然のことながら不倫はできません。
「知能」「身体能力」「容貌」などなどの優良遺伝子が一定レベル以上でないと守備範囲が狭くなります。

ところが、多くの人々が驚くような事実をご紹介しましょう。
私が国選弁護で付いた被告人の中にはたくさんの女性遍歴を持つ男性が実にたくさんいたのです。たくさんの前科のある男性もいました。

おそらく、彼らは優れた身体能力とそこそこの容貌を持っており、女性を選り好みしなかったのでありましょう。
素の能力と守備範囲の広さの二つを兼ね備えていたのではないでしょうか?そういう意味では、男性が持っている優良遺伝子は絶対的基準ではなく、あくまで相対的基準に過ぎないと考えられます。

次に、女性と出会う機会が多い男性の方が容易に不倫に走ります。若い女性の多い職場の男性ほど不倫問題を起こしています。病院や銀行は不倫の巣窟とも呼ばれています。

最後に、これが最大の要因でしょうが、不倫を阻害する要因の少ない男性が不倫に走りがちです。
最大の阻害要因は「妻の監視」であり、次の阻害要因は「社会の監視」でしょう。「妻の監視」から解き放たれた単身赴任の男性の多くが不倫に走っているのは周知の通り(?)ですし、不倫に対して甘い職場(病院や銀行)だとブレーキが弱くなります。

このように見てみると、不倫に走りやすい男性というのは「(犯罪者のように)失うものが少なくて守備範囲が広い男性」と「(監視という阻害要因の低い)単身赴任の普通のサラリーマン」が東西の横綱と言えるかもしれません。
(女性が惹きつけられるような)ハイスペックな男性でも、家族と同居していて他の女性と出会う機会が少なければ、案外不倫の機会は少ないのではないでしょうか?

今回も、客観的証拠の乏しい独善的な仮説に過ぎません。不快感を感じたとしたら、何卒ご容赦下さい。

荘司 雅彦
2017-03-16

編集部より:このブログは弁護士、荘司雅彦氏のブログ「荘司雅彦の最終弁論」2017年4月6日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は荘司氏のブログをご覧ください。