サラリーマン社長も労組もバクチなんて打ちたがらない

城 繁幸

写真ACより(編集部)

東芝の半導体事業の売却を巡り、日本企業からの応札がゼロというニュースが波紋を呼んでいる。電機はもうフラフラなので単独では無理だが、別業種の大手、たとえばトヨタあたりと組んで2兆円なんとかならないものかとは思うが、とにかく半導体事業というのは投資規模も当たり外れも大きいので二の足を踏んでいるのだろう。

というと、たぶんこう思う人もいるだろう。
「内部留保は過去最高に積みあがってるんでしょう?今こそ投資するべきじゃないの?」

筆者もそれは正論だと思う。でもサラリーマンサバイバルレースのゴール間近のサラリーマン社長はそういうバクチを打ちたがらないし、人生を会社と共に過ごすサラリーマン労組も「そんなバクチ張らなくていいから、将来の不況に備えて貯めておいてくれよ」というのが本音だろうし、経産省もそういう微妙なバランスは理解しているだろうから無理はさせないと思われる。

というわけで、今後も日本企業は特大ホームランは打たないけれども(少なくとも大手と呼ばれる企業に関しては)会社がとぶこともなく、積みあがっていく内部留保を横目で見ながら、不思議な安定が(当面は)続くのだろう。

たぶん20年後の学生にアンケートとっても、1990年バブル期とそっくりな就職人気企業ランキングができるんじゃなかろうか。もちろん、国際社会における日本のGDPとか競争力といったランキングは大きく変わっているだろうが。


編集部より:この記事は城繁幸氏のブログ「Joe’s Labo」2017年4月6日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はJoe’s Laboをご覧ください。