新日本プロレスよ、今こそ業界トップとして安全第一の闘いを !

私は「プロレス者」である。ついつい言動がプロレス的になってしまう。家内のお腹の中にいる第一子にも、思わずプロレス口調で語りかけてしまうほどである。

そんなプロレス者の私だが、苦言を呈さなければならないことがある。それは、日本を代表するプロレス団体であり、今年45周年を迎えた新日本プロレスで大きな事故が相次いでいることである。

同団体のトップクラスの選手である柴田勝頼選手が、「硬膜下血腫」で緊急手術をしていたことが明らかになった。

新日本プロレス柴田勝頼「硬膜下血腫」で緊急手術 前日にオカダと激闘(東スポWeb) – Yahoo!ニュース

先月も、本間朋晃選手が邪道選手の技を受けて搬送されたばかりである。首より下が動かないとのことだったが、その後、どうなったのだろう。

業界トップクラスの団体で、しかもベテラン選手、エースクラスの選手で事故が起こるということ自体、プロレスの激しさを物語っているとも言えるのだが、これは看過できない事態ではないだろうか。今、日本のプロレス界で迷いなく「メジャー」だと言い切れる団体は、新日本プロレスくらいである。いや、全日本プロレスや、ノアなど老舗団体、かつてメジャーと言われた団体などもあるが、現状はそうも言い切れない状態だ。DDT、ドラゴンゲートなども、いまや老舗団体であり、規模も大きいが、これらの団体は「メジャー」という言葉とは関係ない独自の世界観を築いている。

やはり、日本を代表するプロレス団体といえば、昔も今も、新日本プロレスなのである。かつては凋落、低迷した時代もあったが、いまやプロレスがまた大きなムーブメントとなっているのは疑いようもない。

その業界の雄で、これだけ事故が起こる件が気になっている。かつては、新日本プロレスの選手は体もちゃんとできていて、レベルも高いと言われてきた。数年前、新日本プロレスの棚橋弘至選手が、DDTのHARASHIMA選手と試合をした際、「何から何まで違う」という趣旨の発言で、苦言を呈したことがあった。DDTをバカにしていないか、HARASHIMAがかわいそうだという声もあった。ただ、業界をひっぱる人間としてのプライドだとも感じたし、実際、見た感じではHARASHIMAは十分上手いが、やはり基本のレベルが違うと感じた次第だ。

その新日本プロレスで事故が頻発している。これは、悪しき兆候ではないか。健康管理は十分か。打ち合わせなど、意思の疎通は十分だろうか。試合が組まれすぎて、疲れていないだろうか。人気の維持のために、派手な技、痛い技、危険な技が必要だと勘違いしていないか。

いや、先月の本間選手の事故だって、これでプロレス人気が一気にさめてしまいかねないほどの大事件なのである。プロレスは危険だから見るのをやめなさいと親が反対したらどうするのか。これまでの新日本プロレス復活に向けた努力が水泡に帰すのである。

レスラーの健康管理の徹底、意思の疎通というか打ち合わせの重視、試合シフトの見直しなどを行うべきではないか。それこそ、同団体は、1回の興行にすべての選手が出れないほど、選手の層が厚い。別にすべての人気選手が出場しなくても良いだろう。それこそ、私は平田対松田、いやスーパーストロングマシン対エル・サムライなど、見たくてしょうがないのだが、最近、試合が組まれなくて戸惑っているのだ。

時代は働き方改革の大合唱だ。これについての思うことは日々、怒りを叩きつけているのだが。とはいえ、レスラーも仕事である。新日本プロレスも働き方改革が必要ではないか。

これからも、楽しくプロレスを観たいのだ。事故頻発に関して、経営陣や選手会を含めた話し合いと対策を期待する。それこそ、選手会もいいが、労働組合が必要なのではないだろうか。



今こそ、仕事の絶対量と中身の見直しが必要だ。私の本も参考にして欲しい。


編集部より:この記事は常見陽平氏のブログ「陽平ドットコム~試みの水平線~」2017年4月10日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。