ルールなど関係ない!必要に迫られるならルールは破れ

尾藤 克之
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画像は講演中の吉田氏

あなたの会社にはどのようなルールがあるだろうか。あなた自身が、ある状況に直面しているとしよう。これに対応する策はいくつか想定できる。しかし、それをするには「ルールを破らなければいけない」。さて、どうすべきか。

今回は、『リーダーの一流、二流、三流』(明日香出版社)の著者であり、人材育成などを手がける、吉田幸弘(以下、吉田氏)に話を聞いた。

■仕事で見かけるよくある現象

――本書には、「3流はルールを無視し、2流はルールは絶対と考え、1流はルールをどう考えるのか?」という問いが隠されている。1流はどうあるべきか。

「ある通販会社での出来事です。お客様から注文の電話が入りました。時刻は19時を3分過ぎています。その会社では19時までの申し込みは、当日の配送で対応していました。しかし、お客様はどうしても当日の配送にして欲しいとお願いしてきたのです。電話に出たリーダーの井上さんは、『ダメです。できません』の一点張りです。」(吉田氏)

「結果、お客様は怒ってしまい、他社に相談してみるからと言って、電話を切ってしまいました。このケース対応する策はなかったのでしょうか。」(同)

――このようなケースはよくある。臨機応変という言葉があるが、ルールがあるとイレギュラーな対応は簡単ではないのも事実である。

「数日後、ライバルの同業他社の商品の注文が、20時から21時に多く入っているということがわかりました。それを知ったメンバーのひとりが井上さんに、数人だけでも遅番で21時までの勤務にして対応したらどうかと提案します。しかし井上さんは『ウチは朝きちんと出勤するのがルールだからできない』と言います。」(吉田氏)

「違うリーダーの石川さんは、次のように考えました。朝10時には必ず出勤し、 19時退社はルールである。しかし、『お客様のため』という理由なら、変えることも検討できるはずだ。」(同)

――朝の朝礼の回数を減らす、一部をフレックスタイム制にするなど、いくらでも方法はある。ルールは守らせるべきだが、状況や環境が異なれば変えるのがルールである。

■ルールを柔軟性をもって理解する

――ルールをつくった根拠を考えずに『いいから守れ」と強制していたら、部下も納得がいかない。強制していたら 自分で考えない部下になってしまうだろう。

「1流のリーダーは、ルールをガイドラインのひとつと考えます。守らなくてはいけないが、他に適したやり方があれば変えることができるものと捉えています。柔軟に運用できればいい、状況に応じて改訂すればいいと考えるのです。そもそもルールは絶対不変なものではありません。」(吉田氏)

「柔軟な対応をとることで、メンバーの自発性も育つのです。ルールは変わっていくもの
と考えなくてはいけません。」(同)

――以前、私がIT系企業の役員をしている際、同じようなことがあった。会社はケータイのショップも運営していた。営業開始はAM10時である。その日は、新機種発売日ということもあり、営業時間前にも関わらず数10名が並んでいた。しかし、朝から雨で土砂降りだった。この時、ショップのスタッフはどのような対応をしたか。

営業時間にならないと開通作業はできないことを伝えながら、開店前の店舗に並んでいた客を店内に誘導したのである。結果的に雨天時などの緊急時対応の項目が、運営マニュアルに追記されたことは言うまでもない。

本書は、基礎的から応用編まで多数の事例が紹介されている。また、あらゆる局面でどのような意思決定をすべきかがわかりやすく解説されている。特に新入社員や新任管理職の方に読んでいただきたい本である。

尾藤克之
コラムニスト

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