SFではない、脳で操作するコンピュータ

先日、日本経済新聞が「フェイスブック、脳で操作するコンピューター技術を開発へ」と報道した。記事によると、フェイスブックは頭に思い浮かべるだけで文章が書けるコンピュータ入力技術の研究開発を進めており、数年以内の実用化を目指しているという。

一見奇想天外だが、脳と機械を直接つなぐ研究の歴史は実は長い。2008年には、電子情報通信学会誌に長谷川良平氏によるレビュー論文が掲載されている。論文には「少子高齢化の進む現代社会の様々な問題を解決するイノベーション技術として期待されている。」とあった。

2016年には、国際電気通信基礎技術研究所・科学技術振興機構・内閣府が「脳による操作は体による操作よりもロボットへの適応力が高い」という共同発表を行っている。アンドロイドロボットを脳で直接操作すると操作する人とロボットの一体感が向上するという研究結果で、将来は映画のようにロボットを自分の分身として使う世界が実現される可能性もあるとされた。

中国も研究開発に力を入れている。重慶郵電大学のZhang Yiらは、感情を認識して動くインテリジェントな車いすを開発したとの論文を2012年に発表している。

フェイスブックの研究開発はこれらの延長線上にあるという点でSF話ではない。

障害者は脳で操作するコンピュータに期待している。キーボード入力やマウス操作ができない障害者も、脳で考えればすむようになれば利便は著しく向上する。最近もインターネットコムが「まさにSF!車イスから「視線」で操作できるPC―透明な画面で前方も見通せる」という記事を配信した。脳で操作するコンピュータ実現への期待は高い。