人はなんのために眠るのだろうか。実は科学的にもはっきりとした決着はついていない。当然ながら明確な定義も存在しない。確実にいえることは、睡眠の質が悪いと仕事のパフォーマンスが落ちるということだ。
本日、紹介する『できる大人9割がやっている得する睡眠法』(宝島社)は、睡眠の重要性がわかり易く説明されている。著者は薬剤師として活動をする小林瑞穂氏、コミックエッセイや書籍のイラストなどを手がける、森下えみこ氏の共著である。
まず全体のタッチはイラストが盛り込まれているので軽く読みやすい。全編イラストの軽い本かといえばそういうわけではない。イラストは各章のサマリーの役割を果たしている。読むことで理解できるが、深く理解したい人はそのまま読み進めばいいだろう。
■睡眠時間が半分になる場合
――今日は社内のキックオフ。1次会の懇親会、2次会のカラオケが終わり、十八番を披露した上機嫌の上司を駅まで送り解散。しかし終電は終わってしまった。先週、カミさんに怒られたばかりだから帰らなくてはまずい。いまからタクシーで帰宅してAM2時。2時半に寝たとしても6時起きだ。しかしどうにか快眠はできないものか。
「仕方ないですよね。毎日のことではないのなら、気にしないことです。『眠る時間が無い、どうしよう』と考えると、余計にストレスになってしまいます。ただ、気にしないなりに、深夜に帰って来た時の注意点をお話します。」(小林氏)
――これには、2つの留意ポイントがあるとのことだ。ぜひ覚えておきたい。
「1つめは、『どんなに疲れていても、絶対に寝間着に着替えてベッド(布団)にたどり着くこと』。睡眠は時間より質が大切。いつもの半分しか寝られない上に、ソファで寝落ちしてしまったら、状況はさらに悪化。お風呂に入るよりも、着替えてベッドへ行くことです。」(小林氏)
「もう1つは、睡眠のリズムの基本単位(個人差、サイクルの回数による差は生じますが)の、1.5時間で睡眠時間を考えること。例えば、4時間しか眠れない時には、4時間まるまる眠るよりも、『1.5時間×2=3時間』の睡眠をとったほうが、スッキリする可能性が高まります。」(同)
■他に気をつけることは
――お酒の苦手な人がつき合う場合、接待飲酒の影響をやわらげなくてはいけない場合がある。何かできることはあるだろうか。
「お酒には入眠促進効果があります。西洋では眠る前のお酒は『ナイトキャップ』と呼ばれ、少量なら効果的であると考えられています。ただし、あくまでも少量なら、という大前提。過ぎたお酒は、眠りの質を低下させてしまいます。飲酒後の眠りは浅いですし、お酒は利尿効果が高く中途覚醒効果もあるので、ぐっすり眠ることができません。」(小林氏)
「次の日のパフォーマンスに影響が出ること必至です。飲酒の前後で次のことを行うと、お酒の影響は少なくなります。ぜひ取り入れてみてください。」(同)
――それが次の5つのポイントになる。簡単なので覚えておきたい。
(1)宴席の前と後にウコンや肝臓水解物、BCAAなどを飲む。
(2)少しでも量を減らす。いつも5杯飲むなら3杯に!
(3)アルコールが抜けるまで時間を置いてから寝る。
(4)お風呂やシャワーで汗を流してアルコールを抜く。
(5)起き抜けに水を1杯。
――睡眠の質が落ちると仕事のパフォーマンスが落ちる。眠れなければ、さらにパフォーマンスが落ちる。睡眠不足は気合や根性では乗り越えられない。あなたの睡眠の質はどうだろうか。一度ふり返ってみては。
参考書籍
『できる大人9割がやっている得する睡眠法』(宝島社)
尾藤克之
コラムニスト
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追記
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