ゼロから作り直す「日本のこころ」が提案する自主憲法制定

間もなく今週末に迫ったゴールデンウィーク。楽しみに待ち望んでいる人も多いでしょうが、連休中頃の5月3日は何の日かご存知ですか?
選挙ドットコムの読者なら分かるかもしれません。答えは憲法記念日です! 1947年5月3日に日本国憲法が施行されたことを記念して制定された祝日です。

憲法とは国のあり方を決めたルールで最も重要な法律。そのため、全政党にとって重要なテーマであり、選挙の際のマニフェストや党の基本方針を定めた党是や綱領などでも触れられることも多いもの。最近では、安倍晋三首相が憲法改正に言及するなど、メディアで目にする機会も増えているでしょう。

そんな憲法記念日も間近に迫った中、憲法草案を発表した政党があります。それは「日本のこころ」(旧 日本のこころを大切にする党)。「憲法草案の作成は、国政政党としての責務」と気概を見せる日本のこころ 中山恭子代表にお話を伺いました。
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(記者会見の様子。日本のこころ代表 中山恭子氏)

「憲法草案を発表する」ことの意義とは?

-選挙ドットコム編集部(以下、編集部)
「憲法草案の発表」というと仰々しく聞こえ、さらに「憲法草案の中身」となると難解な文章のようにも思えます。そこでまず「憲法草案を発表する」ということにはどのような意味があるのか教えていただけないでしょうか?

-中山恭子代表(以下、中山代表)
日本のこころでは、「自主憲法の制定を目指すこと」を基本政策の1番目においてきました。これは、現在の憲法の内容を変える「改憲」でも、新しく文章を書き足す「加憲」でもなく、ゼロから自分たちで作る「自主憲法」です。

こうした点は非常に重要です。現行憲法は戦後GHQの占領下での制定、つまり日本人ではない人々によって作られたもので、昨年アメリカのバイデン前副大統領が「日本国憲法は我々が作った」と明言しているくらいです。ですので、現在の憲法をベースに議論をするのではなく、独立国家として自主憲法の制定が必要だと考え、今回発表を行いました。

-編集部
「自主憲法を制定する」ということ自体が、党の思いのこもった行動ということなのですね。

-中山代表
はい、そうです。
「そもそも憲法とは」というところから考えますと、伊藤博文が日本の憲法を作るにあたり、ウイーン大学のシュタイン教授に教えを請いに行った際に助言されたとされる言葉「憲法とは民族精神の発露であって、自国の歴史や慣習に根ざしたものでなければならない」が顕著に表しています。つまり憲法とは、他国が口出しをして作られるものではないということです。

日本で1番、憲法について考えている党

-編集部
「改憲」「加憲」ではなくゼロベースから、憲法草案全てを作られたとなると、完成までに相当な時間と労力をかけられたのでしょう。

-中山代表
そうですね、草案を発表するまで最低でも7年間は調査、議論を繰り返してきました。これまでに行なった勉強会の回数は3桁を超えているのではないでしょうか。

さらに遡ると私自身は自民党時代から、憲法調査会に入って勉強していました。この草案を出すまでには時間が掛かりましたが、自主憲法制定は党として最大のテーマであり、政治家の役割と自認し、一貫してやってきています。

-編集部
現在、日本のこころは所属議員が2名ですが、規模に関わらず「日本で1番、憲法について考えている政党」という気概を感じます。

(日本のこころ幹事長 中野正志氏)

日本人人質・拉致事件をきっかけに国民を守る憲法の重要性

-編集部
自主憲法の制定は党としても重要事項でしょうが、中山代表個人としても長期に渡って取り組まれてきたのですね。

-中山代表
私個人としては政治家になる前から、「憲法を変えなければ」と思ったきっかけがいくつもありました。
ひとつは、中央アジアの大使をしていたときのイスラム原理主義グループによる日本人人質事件です。人質を救出しようと思ったときに、日本政府の方針は「事件の起きた国にすべてを任せる」でした。その論拠をたどると、憲法に行き着きます。自国の国民を守るということが全く規定されていません。

私は、憲法に書いていないから日本人の人質を放っておいていいとは思えませんでした
もう一つは、北朝鮮による日本人の拉致事件です。被害者家族支援の仕事にあたっていたころ、日本がなぜ救出をしないかを突き詰めると、これもやっぱり憲法が壁になっていました。
どうして救出できないんだろうと考えると、いつも憲法に行き着きました。

-編集部
日本国民を守ることと、独立国家としてこうあるべきだ、というのが今回の憲法草案で伝えたいメッセージということですね。

-中山代表
そうですね。そういったメッセージは序章のところに書きました。
今の憲法でも素晴らしい内容がある「基本的人権」、それから戦争の反省を踏まえた「平和の実現」、「国の任務及び国民の責務」として国の独立と国民の生命・財産を守る旨を明記しました。
それから、日本の良い所として人々の文化が豊かだということが挙げられると思うので、国際交流を含めた文化の尊重を第六条に盛り込みました。

「日本人のこころを大切にしたい」というメッセージも

-編集部
憲法草案は九十条以上にも渡りますが、特に力を入れた章や条文はありますか?

-中山氏
先ほども触れた序章を設けたことはひとつの特徴です。他には第一章の天皇に関する「天皇は日本国の元首であり、常に国民と共にある。」という記述です。

国際社会の中で、日本の「元首」は総理大臣ではありません。天皇が元首ということをはっきり書きたいと考えていました。ただ、日本における元首は大統領のように統治権や軍の指揮権など強大な権限を持っている元首ではありません。日本の長い歴史の中で、天皇が領地を支配する方ではないということは、古事記の時代から言われています。具体的な支配はしないけれども、国民の悲しみにも喜びにも寄り添い、日本の平和や国民の安寧を祈る、そういう存在である、ということを第一章で示したいと思いました。

序章第四条で世界平和の実現を国是とすると謳いました。そして第二章、「平和の維持」では、まず、自衛の場合を除き、戦争や武力の行使を永久に放棄することを約束した上で主権と独立を守り、国際的な平和活動に協力するため、軍を保持することを明示しました。
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-編集部
ここまで憲法草案を発表された意義や内容についてお話を伺ってきました。今後の日本のこころの展望について教えてください。

-中山氏
よく私たちの党は、「右寄り」だなどと言われますが、右でも左でもない真っ直ぐな道を進んで行く党であると自信を持って申し上げられます。
その時々に日本にとって間違いのない道を選んでいく、それが日本のこころです。たとえば、綱渡りをする際に長いバランス棒を持ちますでしょう。まっすぐの一本の綱を渡るのは、非常に大変だけれども、右に傾きそうになったり左に傾きそうになったら、その棒があればバランスを取って、傾くことなく進んでゆけます。

私は、日本には、そのバランスの棒をこころの中に持っている方が大勢おり、だから、日本は途切れることのない長い歴史を紡いで来たのだと考えています。ですから、私たち日本のこころは、きちんとしたバランスを取って平和を維持する政策を採っていくことが役割だと思っています。