自己主張をしないビジネスマン!意欲や情熱は死語か?

写真は高山氏。経営者JPより。

前回、エントリーした「成果主義で失敗した会社が帰結すべきたった一つの理論」が好評だったので続編をお送りしたい。なお、インタビューをしている、高山直(株式会社EQ/取締役会長)氏とは、10余年ぶりの再会となった。EQJAPANという組織で、高山氏が代表取締役、私はソリューション部門と戦略部門を統括する責任者としてEQ普及につとめてきた。

アゴラの記事が、高山氏の目にとまったことが連絡をとる契機となった。過去に取材実績がある、南魚沼市教育委員会/指導主事の森田隆行氏からは、記事を読んだ上でEQを教育現場に活かすことの意義についてご連絡いただいた(過去取材記事はこちら)。また、多方面から感想をいただき、アゴラのメディアとしての影響力を感じずにはいられない。

■自己主張をしないビジネスマン

――そういえば、最近次のような言葉を聞かなくなった。「わたしがやります!」「わたしに任せてください!」「目標を達成してみせます!」「必ずやってみせます!」「絶対にあきらめません!」。遠慮や謙遜をしているわけでもない。自己主張も聞かなくなった。

「熾烈な競争社会で生き残りをかけ日々まい進しているビジネスマンにとって、このような言葉を口にすることで責任を追及されたり、『もし失敗したら!』と考えたときのリスクがあるのでしょう。確かに年々、こういう言葉を使う人が少なくなりつつあるように感じています。」(高山氏)

「しかし、考えてみてください。もし、あなたの部下がこういう言葉を使えるようになったらどうですか。あなたの会社がこういう言葉であふれるようになったら、どんなに勇気がわき、皆が元気にさせられることでしょう。」(同)

――「積極的な言葉」には自信をつけ、周囲をやる気にさせる力がある。

「そういった行動をとることを周囲に宣言し、実行してみたらいいと思います。必ず積極的な言葉を使わなくてはいけないトレーニングを実施してみては如何でしょうか。たとえトレーニングとはいえ、こういった言葉を使うことであなたの『感情』(EQ)は確実に変わるはずです。あなたが変われば周囲の『感情』(EQ)も変わります。」(高山氏)

「この言葉が自然に出るようになったとき、あなたは確実に成長し、自信にあふれた言動もできるようになるでしょう。周囲の人たちが、あなたの言葉でどれだけ元気になるでしょうか。あなたの力で組織のEQも上がり、元気でエネルギーのある活性化した組織に変えることができるのです。考えただけで楽しくなってきませんか。」(同)

――そのためには、できるだけ多くの積極的な言葉を理解し使わなければいけない。積極的な言葉を使うことで、自分の感情が変化していくのが実感できるはずだ。

■励ます言葉の重要性を理解する

――あなたは、言葉の力で元気をもらったことはないだろうか。勇気づけられたことはないだろうか。嬉しくて涙したことはないだろうか。どんなに辛いときでも、一言の励ましによって、エネルギーを与えたりもらうことができる。

「人を励ますことは、その人を認めてあげるということです。誉める言葉をうまく使える上司、励ますことがうまい上司は、部下を元気にさせる達人です。励ます言葉をたくさん知って、周囲をもっと元気にしましよう。自分に合った言葉を見つけてください。」(高山氏)

「励ます言葉に関しては多くの『名言集』が出版されています。感動した言葉や人生を変えた言葉、偉人、作家、そして、活躍しているスポーツ選手など種類も豊富です。それらを参考にして、自分自身の言葉を開発し、実際に使ってみましよう。」(同)

――話は変わるが、前回、「EQブームのあと便乗した書籍や飛躍した理論が乱立した」と補足した。追記するなら、いまある多くのEQ商品はパクリであることも述べておきたい。

まず、EQJAPANという組織は、EQ理論提唱者のイェール大学のピーター・サロベイ博士(第23代イェール大学学長)、ニューハンプシャー大学教授のジョン・メイヤー博士との共同研究をおこなっていた唯一の研究機関である。

しかし残念なことに、EQブームのあとに出現した商品(検査、研修、書籍など)の多くは、理論を無視した稚拙なものが多かった。私自身は現在、EQを推進する活動はしていない。しかし、誤った理解が広まることを憂慮している1人ではある。

参考書籍
EQ「感じる力」の磨き方』(東洋経済新報社)

尾藤克之
コラムニスト

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追記
アゴラ出版道場に渡瀬裕哉さん、田中健二さん登壇決定」。