子育て支援の財源を年金保険料に上乗せして取る「子ども保険」の構想が発表されました。
厚生年金で労使0.1%、国民年金で月160円上乗せして、児童手当を月5千円増やすというものです。
一見すると子育て世代にやさしい制度のようですが、子育ては保険という仕組みにはなじみません。
保険は失業や、病気などの誰もが負うリスクをカバーするものです。
子どものいない人まで保険料を取るのは理屈が合いません。
何より、定率、定額の保険料は所得の低い人ほど負担の割合が高くなります。いわゆる逆進性の高いしくみです。
国民は増税には反対でも、保険料なら仕方がないかと思って、これまでも社会保険料は限界まで引き上げられてきました。
しかも、今の社会保障の問題は、高齢者の負担が少なく、給付が手厚くて、現役世代との間に大きな不公平があることです。
年金保険料では高齢者の負担はゼロです。これでは、選挙対策だと言われてもしかたありません。
今、8%の消費税は引き上げが延期されていますが、次に10%に引き上げる際に、1%分を幼児教育や保育の拡充にあてるように再設計すべきです。その際にも、現金給付よりも保育サービスの充実や放課後の補習授業などの現物サービスに使えば、教育格差の是正につながります。
子育て支援の財源には、医療費のムダづかいやお金持ちの高齢者の基礎年金(税金が使われています。)をカットするなど、まだまだ工夫の余地があります。
耳ざわりは良いですが、子ども保険は不公平な仕組みなので、反対すべきだと思います。
編集部より:このブログは衆議院議員、岸本周平氏の公式ブログ、2017年5月20日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は、岸本氏のブログをご覧ください。