ウーバーイーツで「そば屋の出前」は死語になる?

諸事情あって出前を取らなければならないことになり、近所のうなぎ屋さんと、韓国料理のお店に注文してみました。同じ出前でしたが、2つのお店の注文から配達までの流れは全く対照的です。

うなぎ屋さんは地元の老舗です。電話をかけると女将さんが丁寧に対応してくれました。ご飯少な目、山椒多め、肝吸い付きといった細かい対応も、口頭でお願いして確認していきます。注文してから40分くらいして、お店の店員さんと思われる方が配達に来ました。重箱に入ったうなぎと、水筒に入れた肝吸いのおつゆ。風呂敷包みの江戸情緒溢れる風情です。お支払いは現金のみ。商品と引き換えに支払って、食べ終わった器は後で回収にくるということでした。

一方の韓国料理は、ウーバーイーツ(UBER EATS)で注文しました(画面)。スマートフォン上のアプリから好きなお店を選んで、ネット上で注文は完結。支払いはクレジットカードで終わりますから、現金は必要ありません。

こちらは、注文すると配達までの予想時間が表示され、地図上で配達の人がどこにいるかがリアルタイムで表示されます。こちらも30分ほどで無事に配達がありました。配達してくれたのは、お店とはまったく関係の無い、ウーバーイーツに登録されている方だと思われます。応対も丁寧で、デリバリーされた商品もお店で食べるのと変わらないくらいクオリティが高かったです。

出前という同じサービスでもビジネスの方法は全く異なります。うなぎ屋さんは、自前の店員を抱え、自分で電話注文を受けて、現金商売をしています。器も使い捨てではなく、使い込んだお重とお椀をリサイクルしています。

一方のウーバーイーツは、お店を加盟店として囲い込み、配達する人員も登録制で確保し、ネットから注文が入ると、お店に料理を作らせ、近くにいる配達要員の中から配達したいという人を募っていると思われます。選ばれた配達要員は、お店に行って配達内容を確認し、商品をピックアップして、専用のクーラーボックスに入れて、自転車などを使って注文先にデリバリーという流れです。配達した人の応対や、商品の状態などは購入者から後でレビューされるので、商品を丁寧に運び、きちんとした応対をするインセンティブが生まれます。

お店からすれば、自前の出前要員を確保する必要がなく、コストを払ってアウトソースすることができます。出前注文が無ければ、人件費の負担がありませんから、参入障壁が低いのです。登録しているお店を調べてみると、かなり広範囲のお店がウーバーイーツから注文可能になっています。

テクノロジーの進化によって、料理を作るお店と出前を運ぶ配達要員をネット上でつなぐ仕組みができ、サービスのクオリティもレビュー機能で評価されることで担保することができる。

ウーバーイーツは東京の都心部からサービスを開始して、今や世田谷区、台東区などにも対象エリアが拡大しているようです。利用できるお店も、500店舗以上でこれからさらにサービスエリアの拡大と店舗の増加が期待できそうです。

昔ながらの出前も風情があってよいですが、ウーバーイーツの利便性や注文のハードルの低さの方が、これからのライフスタイルには、フィットしていくような気がします。お蕎麦屋さんの出前も、数年後にはウーバーイーツでするのが当たり前になってしまうのでしょうか?

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所をはじめとする関連会社は、国内外の不動産、実物資産のご紹介、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2017年5月30日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。