やっぱり日本でビットコインが普及するであろう理由

内藤 忍

ビットコインの取引シェア日本一のビットフライヤーに、アカウントを開設しました(写真)。2つ目の暗号通貨の口座開設になります。

暗号通貨は今年に入ってからの急激な価格上昇で個人投資家の注目が高まっています。しかし、投資対象としてはあまりに値動きが大きく、価格の裏打ちとなる基準がなく、需給によって変動するという点で、慎重に付き合うべきだと思っています。投資ではなく「投機」の対象であり、価格の乱高下で、大きく資産を増やす人もいる一方で、大切な資産を大きく棄損しないよう注意すべきです。ブームに乗って安易に「投機」に参加するのは危険です。

しかし、決済の手段、海外送金の手段としての価値は、これから高まっていくと思います。今回の口座開設の目的も、まさにここにあります。

以前、世界の資産運用ガイドのライターを募集しました。コンテンツ制作に対する報酬をビットコインで支払うことにしたのです。受け取ったビットコインは円に交換することもできますし、そのままビットコインで保有してまとまった量になったら引き出すことも可能です。副業での報酬ですから、毎月の生活費に必要という資金ではないと思いますから、価格の変動が大きくてもリスクとして許容できるはずです。

支払いをする側からしても、最大でも数万円程度の小口の報酬を振り込み手数料を払って一人一人に振り込むのは手間とコストがかかります。ビットコインなら、売買手数料はかかりますが、送付手数料も小さくて済みます。

このような小口の決済にビットコインを使う人が増えると、ウォレットと呼ばれる自分のビットコインを管理するアカウントを保有する人が増えていきます。

そして、利用する人の数が増えれば増えるほど、利便性が高まり、ビットコインを使う人が増えて、便益が増加し、それが普及に拍車をかけていくことが予想されます。SNSでも、フェイスブックやLINEのようなサービスが、普及したのは使う人が増えて、それがお互いのコミュニケーションのデファクトになっていったからです。経済学で言うところの「ネットワーク外部性」が働くようになるのです。

暗号通貨の中で、ビットコインは知名度と利用者の数で、頭一つ抜け出しています。「宅急便」という商標が宅配の代名詞になったように、ビットコインは暗号通貨の代名詞になっています。これから最も普及しやすい「通貨」といえるでしょう。

メガバンクでも円にリンクして為替リスクの無い暗号通貨の実用化実験を行っており、価格変動リスクの大きなビットコインは、日本では普及しないという「専門家」の意見もありますが、私の意見は逆です。小口の取引に使われることが増え、一定の普及率に到達すれば、決済のデファクトとして一気に広がる可能性が高いと思っています。優れたサービスであっても、誰も使わなければ、普及しないまま終わってしまいます。

繰り返しになりますが、暗号通貨を投機的な目的で売買するのは避けるべきです。価格変動だけではなく、詐欺事件の被害に遭う人もこれから出てくるのではないかと心配です。暗号通貨は仮想通貨とも呼ばれますが、その中には「架空通貨」も混ざっている玉石混交の世界のです。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所をはじめとする関連会社は、国内外の不動産、実物資産のご紹介、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2017年6月6日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。