タイトルでひき付けて読者に読ませたい!なにが必要?

写真は、さわらぎ/寛子氏。

キャッチコピーの重要性はビジネスをしている人であれば、誰もが理解をしている。しかし奥が深く難しい。「カッコいいキャッチコピーをつけたのに売れない」「エッジを立てたら、うさん臭さが残って逆効果になってしまった」など、失敗事例も枚挙にいとまがない。

コピーライターとして活動する、さわらぎ/寛子(以下、さわらぎ氏)の近著『キャッチコピーの教科書』(すばる舎)には、キャッチコピーのヒントが、つまびらかに紹介されている。主な実績としては、近畿日本鉄道の「舞台は、伊勢志摩」キャンペーンなどがある。今回は、キャッチコピー作成のヒントについて聞いた。

性別によって異なる「欲望」を知ること

――タイトルを考える際、男女によって響くコピーは大きく異なる。男女の本能を刺激するコピーとはどのようなものだろうか。

「人が商品を欲しくなるのは、『今ある悩みを解決してくれるから』か、『欲望を満たすから』のどちらかです。欲望というとギラギラした感じですが『欲求』ならわかりやすいと思います。男性であれば、『頼りにされたい』『成功したい』『モテたい』『出世したい』などの欲望を刺激すると効果があります。」(さわらぎ氏)

「“自尊心”や“男のプライド”をくすぐるコピーを考えてみましょう。」(同)

――太古の昔から、この法則は変わっていない。男は家族を養うために狩りをして食料を確保する役割を担っていた。「今日は面倒だからやめた」というわけにはいかない。そんな男を欲望を刺激するのは、“自尊心”や“男のプライド”であることは間違いない。

「女性の欲望は、何歳であっても『愛されたい』『キレイでいたい』『美しく若く見られたい』ということ。そして、『つながりたい』『仲間に入りたい』という認められたい欲求も強いと言えます。女性に効くのは、『私に合う』『私が変わる』『ずっとキレイな私』『ほめられる』『愛される』などの欲望を刺激するコピーです。」(さわらぎ氏)

「女性は気に入るものを見つけると『みんなに教えたい』『知ってもらいたい』とシェアする傾向があります。“共感力”を刺激するようなコピーも効果的です。」(同)

――他にはどのような要素が考えられるのだろうか。

「男性は、自分だけで独占しようとする傾向にあります。『行きつけの店』を持つのは男性に多く、女性はおしゃれでお得なお店を探していると言えます。クチコミが起こりやすいのは、圧倒的に女性です。読者モデルなど、『今の自分の半歩先』にあこがれるのも女性の特徴です。」(さわらぎ氏)

著者が事例にあげる2つのCMの特徴

――「男は黙ってサッポロビール」。1970年、サッポロビールの伝説的なキャッチコピーとして知られている。まさに昭和の男を絵にしたようなCMだった。

「いまは亡き、昭和の名俳優・三船敏郎さんが登場したことが話題になりました。昭和の男性の価値観を表す雰囲気のCMでした。寡黙で多くを語らないのが男の美学。時代が変わっても共感する人も多いのではないかと思います。女性であれば、『美しく見られたい』という願望を刺激したコピーで話題になったものがあります。」(さわらぎ氏)

「ATLASエステサロンの『今死んだら、“あの太ってたひと”になってしまう』です。もし今死んだらどう思われるだろう…と考えると、1人で家にいるときも、お化粧しておしゃれな下着でいなきゃな、という気にもなりますよね。」(同)

――「この商品を買ってもらいたい」「ブログやメルマガでPVを増やしたい」「プレゼンで提案を通したい」。キャッチコピーが上達すれば、様々なメリットに転用することが可能だ。本書は「キャッチコピーの技術」に関心のある人には最適な書籍といえる。

参考書籍
キャッチコピーの教科書』(すばる舎)

尾藤克之
コラムニスト

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