「ハァ、電気によって音が違う・・・?」
日本武道館で開催予定のLUNA SEAコンサートに、水素燃料電池からの電力供給としてトヨタMIRAI、ホンダクラリティを使うという提案を両社が受け入れてくれたのです。そうなると後は、実演による検証ということになります。実際にSUGIZOがギターを弾くわけですから、公園やグラウンド、駐車場というわけにはいきません。「Team Hydro」全員集合の場を都内のSスタジオに決定し伝達されました。
住宅街にあるSスタジオに朝から、MIRAI、クラリティを運び込み実演できる準備を整えたのです。トヨタ、ホンダ、LUNA SEAコンサートスタッフ、デロイト「Team Hydro」のメンバーが、世界初!水素燃料電池コンサートの成功に向けて、正にキックオフを行った瞬間とも言えるのです。「Team Hydro」の残りのメンバー、SUGIZOと僕は準備が整ったころを見計らってSスタジオに到着しました。と言っても、SUGIZOは僕より先にスタジオ入りしていましたが。
MIRAI、クラリティに充填されている水素は、太陽光パネル由来の電気から電気分解されてつくられたCO2フリー水素です。この水素を空気中の酸素と燃料電池で化学反応させて電気をつくることになるのです。僕がスタジオに入ると準備万端となっていて、けれど「上手く良い音が出るのか?」とTeam Hydroは、何となく不安げな様子。僕は到着するとSUGIZOの控室に行き、水素エネルギーの理解促進策と水素燃料電池コンサートが音楽業界に与える影響などの話を済ませ、いよいよ実演ということになりました。
先ずはMIRAIそしてクラリティ、最後にスタジオのコンセントからの電源という順番で試してみることになったのです。MIRAIとクラリティの電気をアンプに供給するためには外部給電器が必要となります。今回の外部給電器は「HONDA POWER EXPORTER 9000」という器材を利用します。SUGIZOがギターをアンプにつなげ、いよいよ実演に入ります。僕らは壁沿いにある椅子に座り、音の鳴る瞬間を固唾をのんで待ったのです。いきなり「ジャジャーン」正にギターサウンドが頭から足先まで貫かれた感じを受けたのです。SUGIZOは暫くの間、演奏に集中して、音の一つ一つを確かめているようでした。ミュージシャンSUGIZOの本質的な姿はここにあったのです。
「音が跳ねるな。音が広がるな。深みが出てるな。全然クオリティーが出ないな。」MIRAI、クラリティ、そしてスタジオのコンセント電源と電気が変わる度に音の評価をしていました。SUGIZO「電気によって音が違う」、僕はホンダの技術者に「音の違いわかります?」、「わかるわけないです」こんな会話を繰り返しながら、じっと演奏を聴いてました。考えてみれば、バイオリンでもストラディバリウスとおもちゃのバイオリンの音の違いがわからないし、仏国の高級ワインとチリのリーズナブルなワインの味の違いもわからない。プロの音楽家は音の違いがわかるし、ソムリエは味の違いをわかる。音楽業界の人は、やはりその違いがわかっているようだ。
水素でつくられた電気は、壁からとる電気と違い、本当に良い音がでる。国によって電気が異なり、つくられた材料によっても電気は異なる。電気の違いで音が変わる。そして水素はレベルの高い音が奏でられる。SUGIZOはこう話した。そしてMIRAIはロンドンぽい音が出る。クラリティは西海岸ぽい音が出る。実際に電気の計測器の波長を見るとSUGIZOの言っている通りのデータが出ていて、正直、驚いた。今回の武道館コンサートのイメージは、クラリティによって表現できる。SUGIZOの出した結論によって、ギターアンプにはクラリティ、野外物販スペースの照明にMIRAIを使うことになったのです。ロンドン、西海岸???SUGIZOは子供のころに音楽の英才教育を受けたというが、僕は音符も読めない、この違いだ。
SUGIZOのギター演奏を聴きながら「Team Hydro」は、全員、日本武道館で奏でられるギターサウンド、そしてLUNA SEAの音楽を思い浮かべ「成功させるぞ」という気持ちが、高まったに違いない。正に一体感。「Team Hydro」と共に世界初を目指します。
⑤に続く。次回は「コンサートの記者会見を何で国会で?」
編集部より;この記事は衆議院議員、福田峰之氏(前内閣府大臣補佐官、自由民主党、比例南関東)のブログ 2017年6月13日の記事を転載しました。オリジナル記事をお読みになりたい方は、ふくだ峰之の活動日記をご覧ください。