防衛大式「ホウレンソウ」とはどのような「報連相」か

尾藤 克之

写真は濱潟氏(トークライブにて)

防衛大は自衛隊の幹部自衛官を養成する教育・訓練施設である。卒業式は内閣総理大臣や防衛大臣の出席、訓示が慣例となっている。「自衛隊法第53条」及び「自衛隊法施行規則第40条」に則り、宣誓書に署名捺印をする事が義務付けられているが、これは、日本国憲法、校則遵守への宣誓となる。

何があっても必ず結果を出す! 防衛大式最強の仕事』(あさ出版)の著者であり、防衛大のメソッドを使用しながらコンサルティングサービスを提供している、濱潟好古(以下、濱潟氏)は防衛大出身で知られている。今回は、防衛大の数多くのノウハウのなかでもすぐに実践できる「ホウレンソウ」について聞いた。

余計な報告には「指導」がはいる

――防衛大は生活をするうえで相当厳しい環境のようだ。とにかく様々な場面で「報告」「連絡」「相談」が求められる。余計な報告には「指導」がはいる。

「1700名もの学生が、寝食をともにしながら行動するわけですから、集団生活を円滑にするうえで『ホウレンソウ』は必要不可欠です。防衛大には現役の自衛官も教官として勤務しています。毎日の点呼では、学生から教官に一日の『報告』をする義務があります。必要な状況報告を、すべて結論からスピーディに行うのです。」(濱潟氏)

「報告にはルールがあります。あいまいな『ホウレンソウ』はしないことです。また、すべて数字表現をする『数値化コミュニケーション』が求められます。」(同)

――「ホウレンソウ」は、相手に伝わらなければ意味がない。ただ伝えるのではなく、相手が理解しやすいように工夫しなければいけない。

「防衛大は幹部自衛官を育てるための教育機関です。通常時もそうですが、有事のときはなおさら、短い時間で正確な情報を集め、決断をしなくてはなりません。知りたいのは、よい状況であるのか、悪い状況であるのかということです。上司は部下からの『ホウレンソウ』をもとに、瞬時に判断したいと思っています。」(濱潟氏)

「悪い話であればあるほど早急に対応策を考える必要がありますし、よい状態なら、それに応じた対処が必要です。時系列に沿った『ホウレンソウ』はいらないのです。」(同)

上司が求めていることを把握せよ

――たとえば、A社の状況を上司に報告する必要があった。優先事項はどうなるだろうか。

「上司がいちばん知りたいのは現在の状況のよしあしです。悪い状況であれば、すぐに対応策を考えなければなりません。この場合は、マメに報告をする必要があります。最悪なのは『A社の件はその後どうなっている?』というように、上司から状況確認をされることです。自分からマメに行ってください。」(濱潟氏)

「私は、営業マン時代、上司から仕事を依頼されたら、すぐに途中経過の『ホウレンソウ』をする日時をカレンダーに記入していました。」(同)

――どうやら、「ホウレンソウ」は、上司から状況を確認される前に自分からマメにすることで、ロスを無くすことができるようだ。

「上司が行動を取りやすくするために、気づいたことはプラスして情報を伝えましょう。たとえば『悪い報告があります。取引先のA社からクレームが入りました。以前と似たよう内容だったのでので、○○で対応し収束しています』。こんな具合です。大切なのは、上司が何を求めているか常に考えることです。」(濱潟氏)

――いい話か悪い話かを真っ先に伝えることで、あなたの評価も大きくかわるかも知れない。本書には、日常で役に立つテクニックが紹介されている。若いビジネスパーソン向きと考えられるが、上司のコネタとしても役立ちそうだ。

参考書籍
何があっても必ず結果を出す! 防衛大式最強の仕事』(あさ出版)

尾藤克之
コラムニスト

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