加計疑惑について、私は最初から、「文書はあったかもしれないが、 問題は、 そこに書かれている最高レベルの意向と内閣官房の審議官が言ったというのは、 嘘か誇張かだろう」といってきた。
霞ヶ関では交渉相手の要求を誇張した文書が作成されるのは日常茶飯事である。そのほうが、内部を説得するのが楽だからで、そんなことをしながら、落とし所を探つていくものなのだ。また、総理の意向などと具体的案件について、直裁的な言い方を内閣府の幹部がするはずないということでもある。
そして、本当に総理の強い意向らしいとなったら、前川次官は大臣と相談するぺきだったのに何もしていないし、独自ルートでどこまで総理の意向というのが本当が探りも入れたはずなのに、何もしてないのだから、それほど前川氏が重要視していなかったことも明らかだ。
ただし、金曜日になってもう少し細かいことが明らかになった。「著しい誇張」であることに違いないのだが、その具体的な歪曲の方法は別の話についての表現を間違った印象操作に前川氏が使ったということらしい。
つまり、この段階では、獣医学部を一カ所だけ、しかも、今治でというのはほぼ既定路線になっていた。ただ、文部科学省は抵抗したというアリバイづくりをしたいこともあって、一年間の引き延ばしを計っていた。大学の設置は他省庁の案件より慎重に扱うべき神聖なものとアピールしたかったのだ。
そのコンテキストのなかで、「学部設置というのは、他省庁の案件と違って慎重に行うべき問題なので、そんな急いでといわれても」と抵抗し、それに対して、内閣府は「文部科学省の案件だけが慎重を帰すべき理由もないし、総理もスピード感をもってといってるのに呑気すぎる」とか言ったらしい。
それをあたかも、まだ、方針は何も決まってないのに、「獣医学部の新設を認めろ、今治にしろ」という総理の意向が示されたと、前川氏は印象操作しているのである。そして、この文書を書いた文科省の若い女性事務官は、先輩である前川氏への義理立ての板挟みになって「総理の意向といってもどういう意味か分かりません」と泣き言を言っているらしい。
それにしても、前川氏も「文書が」とかいい、それを印象操作で歪曲すれば、後輩たちに迷惑がかかることがわかっているのに、自分さえ良ければ何でもする人だと呆れる。
※アイキャッチ画像はテレビ朝日より引用(編集部)