豊田代議士“暴言暴行事件”絶妙なタイミングに違和感

尾藤 克之

写真は豊田代議士。HPより。

「豊田真由子代議士の暴言暴行事件」が話題になっている。昨日数件の電話取材があった。「今回のような暴言暴行はよくあるか?」という質問が多かったが、あくまでも個人的な見解として「可能性としては有りうる」とだけお答えした。

議員事務所は各事務所毎に特色がある。現職でないある事務所では、センセイが起床する時刻に秘書全員がお迎えしなければいけなかった。ある事務所ではセンセイが床に給料を投げたものを拾うのが恒例だった。ある事務所では、秘書を採用しても激務のため1週間ともたなかったので日本一出入りが激しいといわれていた。

では、それが問題かというとそういうわけではない。秘書は公募をすることは少ない。後援会や信頼できる筋の紹介がほとんどだ。今回も、信頼できる筋の紹介があり、それなりの選考を経て採用に至ったと考えられる。戦国時代の大名と家臣みたいな関係とでもいえばわかりやすいだろう。センセイと秘書は一蓮托生の関係に近い。

センセイが落選すれば秘書も失職する、会社であれば数年毎に倒産の危機である選挙があるのだから必死になる。激務でないほうがおかしい。しかし、気持ちはわかるのだが、メディアへの暴露という手段は誰も得をしない。おそらく示談により解決にいたるだろうが、禍根を残すことになる。決してほめられた道理ではない。

今回の報道によって明らかにされた、秘書に罵声を浴びせて暴行を加える行為はいかなる理由でも肯定することはできない。前代未聞の振る舞いであることは間違いないが、秘書の方もセンセイにお仕えする気持ちで入所してきたはずだ。メディアへの暴露は品が無いしメリットよりもデメリットのほうが多い。

しかし今回の報道のタイミングは絶妙である。現在、政権は「加計学園」の問題などで批判が高まり支持率低下が指摘されていた。そのなかでの報道なので恣意的なものを感じなくもない。また、当選2回生議員に失態が続いているという報道がある。自民党は当選1~3回が半数以上を占めているから、2回生が突出しているわけではない。

2012年、2014年の過去2回の衆院選は、自民党の高支持率、野党低迷のなかでの選挙だった。公認さえもらえれば比較的楽に当選できた選挙ともいわれている。いまは1強状態で政権交代の可能性すらない。有権者の厳しい視線にさらされたり、野党候補の存在を意識したりすることがない。当然ながら、言動にたるみが生じたとしても不思議ではない。

過去には、派閥が若手を育成する役割を担っていた時期もあった。ベテランが減り、派閥が弱体化したことからシステムも大きくかわり若手を育成する機会が減ってきたのだろう。さて、運転中のあのような行為は危険だから留意いただきたい。「運転中のハンドル操作のミスは危険である」とも申し上げておきたい。

尾藤克之
コラムニスト

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