加計問題で急落する内閣支持率、なぜ安倍内閣は証人喚問をしないのか?

安倍内閣の支持率が下がり始めている。「朝日新聞」の調査では、支持率が41%と前回調査より6ポイント減。一方、「支持しない」は37%だった。「毎日新聞」の調査では、「支持する」が5月の調査から10%減の36%。「支持しない」は44%と、「支持する」を上回っている。

予想どおりと言っていいだろう。その要因は、もちろん、安倍内閣の強引極まりないやり方だ。共謀罪の成立について、委員会での審議を途中で打ち切り、中間報告という禁じ手を使ったこと。何より、次から次へと「文書」が出てくる、「加計問題」がその理由だろう。

さらに、ここにきて「加計問題」で新展開があった。加計学園が、国家戦略特区で獣医学部を新設しようとしている計画についてだ。新設の条件を「加計ありき」で修正するよう官房副長官の萩生田光一さんが指示した――。そう伺わせる内容のメールが内閣府から文部科学省へ送信されていたと、文科省と内閣府のいずれもそれぞれの調査で認めたのだ。実質的に獣医学部新設に加計学園しか応募できないよう内閣官房副長官が指示したと伺える内容のメールが実在したということだ。

だが、それよりも気になることがある。内閣側の対応がまったくもってあきれるばかり、ということだ。

16日の参院予算委員会で、獣医学部新設計画をめぐる問題の集中審議が開かれた。そこで、官房副長官から指示があったというメールについて、地方創生担当大臣の山本幸三さんが答弁した。その内容は、総理のご意向と記されたメールは、文科省の人間ではなく、「直接の担当者でもありません。文科省から出向してきた方で」「陰で隠れて本省にご注進した」と、まるで文科省の官僚をスパイ扱いである。

また文科事務次官だった前川喜平さんは、昨年9~10月に、首相官邸で首相補佐官の和泉洋人さんと複数回、会ったという。「安倍首相は自分の口から言えないから、私が代わって言う」などと言われ、さらに「獣医学部新設を早く認めるよう、求める趣旨だった」とも述べているのだ。

もちろん安倍内閣は否定している。だが、前川さんは、「証人喚問に応じる」と言っている。本当にそんな事実がないならば、安倍内閣は証人喚問して、堂々と潔白を証明すればいい。

そんななか、東京都議会議員選挙が7月2日に行われる。自民党は都議会第一党を保てるか。自民党にとって厳しい戦いになることは、間違いないだろう。


編集部より:このブログは「田原総一朗 公式ブログ」2017年6月30日の記事を転載させていただきました。転載を快諾いただいた田原氏、田原事務所に心より感謝いたします。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、「田原総一朗 公式ブログ」をご覧ください。