億の仕事は細かく、万の仕事は大胆に

ぅ、大根は、やっぱり隣町のスーパーの方が10円安いわね。」

と、日ごろから倹約を積み重ねている方が、人生に一度の家を買うときは、勧められるままに、他のものをろくに見ないまま、「えいやっ!」と決めてしまうことが少なくない。

笑い話のようだが、実は、行政でも似たようなことが起きている。

例えば、ゴミ焼却場の建設。

設備投資と維持管理でゆうに数十億円はかかるが、なぜか、「えいやっ!」と決めてしまう。数十年に一度の事業で、誰も精通していないにもかかわらずだ。

全国では、どう効率よく燃やすか、いかに集めるかなどさまざまな工夫がなされているし、熱や電気を有効に活用している例も少なくない。そもそも町を挙げてリサイクル・リユース・リデュースに取り組み、ゴミ焼却場を延期している/作っていない事例もある。

数十億円の事業ならば、仮に数百万円かけて事例を調査しても十分にお釣りが来るだろうし、むしろそうすべきだろう。

一方で、日頃から慣れている万円単位の業務は、実に細かい。特に、財政が硬直して新規事業がなかなか認められない環境では、新規事業のために事業費の何倍もの人件費をかけて、たくさんの書類を何度も作りなおすことも珍しくない。

億の仕事は大胆に、万の仕事は細かく

ではなく、

億の仕事は細かく、万の仕事は大胆に

すべきではないだろうか。

万の仕事のプランの査定に時間がかかり過ぎて、doできないことが続くと、ほとんどの人は諦めてしまうし、何も本質的なことを考えなくなってしまう。経験から学ぶこともできない。

職員の劣化は避けられないし、変化が激しい時代において、住民が今、真に望むサービスは提供されなくなるだろう。

万の仕事、そして命や安全に関わらないことは、まずやってみる、Do!Do!Do!でいいのではないだろうか。

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日本で住民参画がなかなか進まない本当の理由とは?


<井上貴至(長島町副町長(地方創生担当)プロフィール>

<井上貴至の働き方・公私一致>
東京大学校友会ニュース「社会課題に挑戦する卒業生たち
学生・卒業生への熱いメッセージです!

<井上貴至の提言>
杯型社会に、求められること


編集部より:この記事は、愛媛県市町振興課長(総務省から出向)、井上貴至氏のブログ 2017年7月6日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は井上氏のブログ『井上貴至の地域づくりは楽しい』をご覧ください。