【映画評】リベンジ・リスト

自動車整備工のスタンリーは、再就職を目前に前向きな日々を送っていたが、ある日、目の前で強盗に最愛の妻ビビアンを殺害されてしまう。容疑者のチャーリーというチンピラはすぐに捕まるが、裏社会とつながる悪徳刑事ギブソンによって釈放されてしまう。かつて数々の殺しを請け負ってきた特殊部隊の工作員だったスタンリーは、封印していた殺人スキルを総動員し、復讐の鬼と化す。だが、事件は単なる強盗殺人ではなく、そこには汚職政治家や彼の子飼いの悪徳警官がからむ巨大な陰謀が隠されていた…。

最愛の妻を殺された男の復讐を描くクライム・アクション「リベンジ・リスト」。元特殊部隊の男が愛する者を奪われてリベンジに燃えるというストーリーや、妻が調べていた環境問題から政治腐敗に派生する流れなど、手垢がつきまくり、既視感満載のB級犯罪アクションものである。いくら元特殊部隊の凄腕工作員だからって、都合が良すぎる展開が多すぎると苦笑も誘われる。だがこの作品、B級ならではのサクサク進むテンポの良さと、意外な味わいがあるのだ。それはトラボルタ演じる主人公スタンリーを助ける相棒の存在である。

同じ元工作員で、表向きは床屋を営みながら情報屋として暮らすデニスのキャラがいいアクセントになっている。デニスは、事件の裏に潜む陰謀の大きさを知っていて、復讐はやめておけと忠告しながらも、いざという時にひょっこり現れてはスタンリーを助ける仲間思いの男なのだ。スタンリーとデニスのバディ・ムービーとしてみれば、B級テイストも含めて、微笑ましいとさえ思えてくる。

上映時間はサックリと91分。それにしてもトラボルタの髪の毛、ヅラなのか?!あまりにも生え際が不自然で、見ている間、そっちの方が気になって仕方がなかった。
【55点】
(原題「I AM WRATH」)
(アメリカ/チャック・ラッセル監督/ジョン・トラヴォルタ、クリストファー・メローニ、、他)
(スピード感度:★★★★☆)


この記事は、映画ライター渡まち子氏のブログ「映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評」2017年7月5日の記事を転載させていただきました(アイキャッチ画像は公式サイトから引用)。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。