FTのEd Crooksがツイートしていた “Zackerberg visits North Dakota to learn about energy industry” (”The Hill” by John Bowden, July 12, 2017 11:49am EDT)と、添付されていたマーク・ザッカーバーグのFB投稿記事そのものを興味深く読んだ。
おそらく人々の関心は、マークが政界に進出することを考えているのではないか、ということにあるのだろうが、筆者は「エネルギー」という観点からこの記事を読んで、面白いと思った点が多々あるので、ここで紹介しておきたい。
The Hillの記事の要点は次のとおりだ。
・マークは7月12日(水)、水圧破砕(fracking)と石油産業について学ぶために北ダコタ州のWillistonを訪問した。この訪問は、マークが将来政界に進出するのでは、との憶測をさらに高めた。
・FBへの長い投稿の中で、エネルギー産業について「異なった見方」を学ぶことは重要だ、と書いている。「水圧破砕とコミュニティについて学ぶために・・・」
・マークは、気候変動を止めることは我々の世代の重要なチャレンジの一つだ、としながら、議論はあるがエネルギー産業について「異なった見方」を学ぶことはより重要だ、としている。
・現場の人の話では、ダコタ・アクセスのP/Lが開通して、当地のシェールオイルを消費地まで運ぶコストが$6~7/BBL下がり、結果として雇用と投資を呼び込むことになる。
・また現場の人々は、再生可能エネルギーが規模としても十分にエネルギーの中心となるまでは、シェールが重要で頼れるエネルギーとして役立って行くと信じており、だから悪者扱いは止めてほしい、と話している。
・彼の米国視察旅行は将来大統領を目指しているのでは、との憶測を呼んでいる。先月アイオワ州を訪問しており、4月にはミシガンのフォードの組み立て工場を訪問している。
・6月、トランプ大統領が「パリ協定離脱」を発表したとき、FBは他のハイテク企業とともにこの判断を批判し、パリ協定支持を表明している。5月には、ニューヨークタイムスとウオールストリートジャーナルに全面広告を出し、パリ協定により雇用も経済成長も期待できると主張し、トランプ大統領にパリ協定にとどまるように要請した。
添付されているマークのFB投稿の主要点は次のとおり。
・(前述した北ダコタへの訪問理由・背景を説明し)皆も外に出て、すべての見方を勉強しよう。
・北ダコタにシェールブームがおきて、数年の間に人口が3倍に増えた。油価が暴落し、多くの会社、労働者が去っていった。だが、この事実がユニークなコミュニティ・ダイナミックスを生み出している。
・現在でも男女比率は10:1、ピークには30:1だった。多くのリグ労働者は2週間働き、2週間休暇(メキシコ湾海上油田労働者と同じ!)、宿舎はキャビンで、6人用で2段ベッドがしつられてある。高卒だが、10万ドル/年稼いでいる。
・現場で話を聞いた女性労働者の話では、安全だということだが、この男女比率のアンバランスが多くの問題を引き起こしている。たとえば、付き合った人には実は妻がいた、とか。FBのおかげで、そういう秘密はまもれなくなっている、と感謝された。別の女性労働者は、ここに来てドリンクを自分で払ったことがない、と語った。
・この男女比率アンバランスは犯罪を増加させている。
・人口が短期間で大きな増減をすることは、いくつかの問題を生じさせている。たとえば学校関係者の話では、増加する労働者たちに落ち着いて貰いたいので学校を用意することが大事だ、ある学校では一時、500人だった生徒が1,500人に増加した。不動産関係者は、新規の住宅を作るのは大変なので、2ベッドルームの家の賃貸料が月500ドルから2,500ドルに跳ね上がった。だが、いまや建設し過ぎた物件が増えている。
・石油業界関係者は、トランプ大統領の政策変更により北ダコタのコストは6~7ドル下がり、結果として雇用と投資が増える希望が出てきたという。
・気候変動により再生可能エネルギーが重要となっていることについては多くの人が認めているが、現実の生活にエネルギーは重要で、再生可能エネルギーが主役となるまでは化石燃料が重要だから、悪者扱いはしないで欲しい、と言っている。
いや、面白いですね。
判断の前に、正しい事実認識と論理的思考。マーク・ザッカーバーグ大統領、いいかも知れませんね。
編集部より:この記事は「岩瀬昇のエネルギーブログ」2017年7月13日のブログより転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はこちらをご覧ください。