いったん「戸籍謄本を出す」と表明した蓮舫代表は、きのう午後になって「台湾の籍を有していないことがわかる部分」だけ見せるといい、さらに「パスポートや台湾当局への国籍離脱申請書の写し」を提出すると話が変遷している。申請書を出すというのは、証明書が存在しないということだろう。台湾政府のウェブサイトで「謝蓮舫の国籍喪失」を検索すると、こういう結果が出る。
「査無您的申請案件」というのは「あなたの申請の調査結果はない」という意味だ。昨年10月30日には「内政部審核完成,將發文函送外交部」つまり「内政部で審査が終わって外交部に回した」となっていた表示が、12月にこう変化した。国籍喪失が許可されたらそういう結果が表示されるはずで、審査の記録そのものが削除されたのはおかしい。
昨年9月23日の記者会見で、彼女は「私の台湾籍の離脱手続に関しまして、先ほど台湾当局から、手続が完了したという報告と証明書をいただきました」と発表したが、それをいまだに見せていない。証明書があるなら、申請書なんか出す必要はない。
ここで「はい」と記入すると国籍法違反なので、旅券は発行されない。したがって彼女は「いいえ」と記入したはずだが、これは台湾国籍をもっていると旅券法違反(虚偽記載)で、5年以下の懲役である。証拠は法務省(したがって官邸)がもっている。
ただ台湾国籍を離脱できないことは、必ずしも違法ではない。国籍法14条2項では「日本の国籍の選択は、外国の国籍を離脱することによるほかは、戸籍法 の定めるところにより、日本の国籍を選択し、かつ、外国の国籍を放棄する旨の宣言をすることによつてする」としている。彼女は昨年10月7日にこの「国籍選択宣言」を完了したといっているが、戸籍謄本を出さないので、今も違法状態である疑いが残る。
本質的な問題は、国籍選択宣言を完了したとしても、彼女が2004年から3回の参議院選挙で国籍を偽って当選したという事実である。彼女が自分で認めたように、国籍選択したのは早くても昨年10月なので、2004年の選挙公報の「1985年に台湾籍から帰化」したという記述は明らかに経歴詐称だ。これは公選法235条(虚偽事項の公表)違反なので、少なくとも2004年の参議院選挙は当選無効である。6年間の議員歳費を返還すべきだ。
なお付言するが、これは「民族差別」とも「排外主義」とも無関係だ。彼女がアメリカとの二重国籍であっても、「アメリカから帰化した」と嘘をついて選挙に当選したら無効である。過去の判例では、学歴詐称でも当選無効になった。公権力を行使する国会議員の地位は、それほど重いのだ。