世の中には、実にさまざまな人がいる。芸人でも売れる人もいれば売れない人もいる。努力をせずに仕事に有りつける人もいれば、努力が実らない人もいる。チャンスをものにする人、ものにできない人、好かれる人もいれば、なぜか、苦手とされる人もいる。そんな人たちの違いはどこにあるのだろうか。
大谷由里子(以下、大谷氏)は、故横山やすし氏のマネージャーをつとめ、宮川大助・花子、若井こずえ・みどりなど当時、若手だったタレントを次々に売り出した敏腕マネージャーとして知られている。横山やすし氏にど突かれた人は多いが、逆に、ど突いて説教をしたマネージャーは、大谷氏をおいて他にいないという逸話が残っている。
今回は近著の『また会いたい!と思われる人になる』(WAVE出版)を紹介したい。大谷氏のユニークな人物観察は幅が広く興味深い。
「運がいい人」は気に入られやすい
――「運」とはなんだろうか。運のいい人、運の悪い人って絶対にいる。大谷氏によれば、「運」がかもしだすオーラというものがあるそうだ。
「運に関してですが、経営者とかタレントとかゲンを担ぐ人ほど、『運』という言葉に敏感です。そして、運の悪そうな人と会うことを嫌います。相手に、また会いたい、と思わせるためにも運のいい人になることが大切です。そして、運のいい人になる方法、運のいい人に見える方法があります。」(大谷氏)
「方法は簡単です。まず、『わたしって、運がいいんです』を連発すること。実行しているうちに、運のいい人に変わっていきます。」(同)
――たった、それだけですか?どのようにやるのでしょうか。
「難しく考えないことです。『本日、○○さんにお会いできるなんて、本当に運がいいですよね』『こんな場所に呼んでもらえるなんて、本当にラッキーです』。とにかく、自分が幸運だということをアピールすること。相手が勝手に、『こんな運のいい子と会えてラッキーだな』と、思ってくれる確率が高まります。」(大谷氏)
「嘘でも自分が『運がいい』を連発していると、運って、不思議なもので自分に向いてくるものです。実際に『わたしって、運がいいんです』を連発していると、相手も大切にしてくれるようになるものです。」(同)
――では、やってはいけないことはなんだろうか。
「マイナスの言葉を使わないことです。マイナス言葉は運を逃します。『ついてないんですよね』という言葉をしょっちゅう使う人って、本当についていないような気がしませんか。『でも~』『いまさら~』という、言い訳がましい言葉を使う人も同じです。自分から運を逃しているようなものです。」(大谷氏)
「ある社長を訪問したときのこと。秘書が、『△△さんが来られました』と言ってきました。社長は『いないと言ってくれ』と。『わたしなら構いません』と申し上げたら、次のような言葉が返ってきました。『あいつはネガティブだがら、運気が下がる気がするんだ。不運を運んでくるような気がする』。」(同)
最後は自分が人生をどう生きたいか
――次ぎのエピソードも、大谷氏によるものだが興味深いので紹介しておきたい。
「ある勉強会で、華僑の人の話がありました。あるビジネスマンが次のような質問をしました。『成功する秘訣は何ですか』と。華僑の人は次のように答えました。『運のない人を近くに寄せつけないことです』。経営者は『運』を大切にします。人の力だけでは、どうにもならないことを痛いほど経験しているからです。」(大谷氏)
「嘘でも『運』があるようなフリをしたほうがいいのです。そのフリをしているうちに、『運』が向いてきたりします。だから、人生は面白いのです。」(同)
――最後に興味深いエピソードを紹介したい。大谷氏が吉本興行に入社した頃は、まだバブル絶頂期だった。金融や不動産が花形で、吉本興行はまだ知られている存在とはいえなかった。就活が終わり、「どこに就職するの?」と友人。大谷氏が「吉本興行」と答えると、「あそこは反社会的勢力(ヤ○ザ)の会社じゃないの?」と言われた。
吉本興業は、芸能事務所として初めて上場した歴史がある(現:非上場)。RAKUTEN(みん就)、2018年新卒就職人気企業ランキングで、吉本興業は196位となっている。日産自動車(169位)、サッポロビール(189位)、全日空(192位)、など錚々たる企業とも肩を並べているクラスだ。この流れを体感しているので就活生や若い人には厳しい。
大谷氏は、「どこの会社行くかは問題じゃない。大切なことはなにを学ぶか」だと答える。「いまギリギリの生活です!」と言われたら、「いいねえ毎日ジェットコースターに乗れて!」と切り返す。「権限がないから!」と言われたら、「権限あるところまで必死にやれば?」と切り返す。最後に人生をどう生きるかはあなた次第である。
『また会いたい!と思われる人になる』(WAVE出版)
尾藤克之
コラムニスト
<第6回>アゴラ著者入門セミナーのご報告
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次回の著者セミナーは8月を予定。出版道場は11月を予定しております。
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