こんばんは、都議会議員(北区選出)のおときた駿です。
昨日は知人に誘われ、行政視察ではなく一般参加者として築地の「マグロセリ場見学」に行ってきました。
なおマグロセリは、英語で言うと「Tuna auction(ツナ・オークション)」です。
マグロセリを見るためには、午前2時過ぎに行列が出来初めて、5時過ぎまで待つことになる体力勝負になります。昼夜問わず色々な時間帯に築地市場の視察には訪れましたが、マグロセリを実際に見るのは初めてです。
3時頃になると「待合室」に入って待機することができるのですが、こんな感じです。ここで2時間ほど待つことになるので、暇つぶしグッズや小さい座布団などがあると良いかもしれません。
この日はど平日(月曜日)ということもあってか、参加者の9割以上は外国人観光客でした。土曜日だともう少し、日本人が多いのかも?(日曜日はセリがお休み)
なお、マグロセリを見学できる人数上限は120名。我々は2時半頃から並び始めて30番目くらい、だいたい4時過ぎ頃には120名の上限に達していたと思います。
そして3時過ぎ頃から、実際に築地市場で20年働いているという仲卸の方が、マグロセリの仕組みについて説明を始めてくれました。なんとこちら、質疑応答まで含めて通訳なしですべて英語!これには率直にびっくりしました。
「1日にどれくらいの量が取引されるのか」
「ここから世界に輸出される割合はどれくらい?」
などの質問にも、アドリブで流暢に応えていく仲卸業者のKoseiさん。築地がいかに外国人観光客を大事にしながら、この文化と伝統を守ってきたのかがわかる素晴らしい場面でした。
20分ほどの解説が終わってから待つこと1時間半、5時過ぎになるとようやくセリ場に入ることができます。テレビで良くみる光景ですね!
ずらりと並んだ冷凍マグロを、仲卸の人たちがじっくり吟味をする姿や、ベルがなって競り人が独特の掛け声を発する姿などを見ていると、あっという間に退場時間。
セリ場に滞在できる時間はわずかに20分程度で、実際にセリが行われるシーンが見られるのはそのうち5分ほどでした。
とはいえ、セリ場に至るまでに市場の雰囲気を味わいながら移動することになりますし、セリ終了後も場内や場外を観光できるので(場内の特定エリア見学は10時以降)、全体的に観光客の満足度は高いのではないでしょうか。
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百聞は一見にしかずということで、築地再開発がこれから議論される前に、セリの現場を見られたことは貴重な体験になりました。
外国人観光客の雰囲気や待合室での雑談を側聞するに、猪瀬直樹元知事が時おり言及されている、
「築地に外国人観光客が多いのは、先進国ではもう見られないワイルドな光景を見たいからだ(≒築地は「遅れている」と思われているのではないか)」
という指摘は多くの部分で当たっていると思います。長い時間をかけて作られ、残されているあの築地の雰囲気や情緒というのは、特に外国人観光客の琴線に触れるものがあるのでしょう。
一方で、セリ場から一歩外に出るとそこは真夏の常温空間。開いた扉から、冷凍マグロが並んでいる姿も視認できます。
よく議論される「コールドチェーン」などの観点から考えれば、やはり衛生観念上の遅れは否めません。
最新鋭で機械的な豊洲新市場に移ってから、「マグロセリ」というコンテンツで外国人観光客を維持できるかどうか、正直なところ不安はあります。一方で、専門知識を持つ仲卸事業者による英語解説など、かけがえのない人的資源にはさらなる可能性も感じます。
「伝統と革新」
というのはいかなる業界でも最大のテーマであり、私が以前に所属したブランド会社も、どれだけ伝統で既存の顧客を維持しながら、革新的な商品で新規顧客を獲得し続けるかという難題に挑戦し続けていました。
現場の状況や事業者の皆さまの意見を理解しながら、引き続きこの難しい豊洲移転・築地再開発というテーマに着地点を見つけていきたいと思います。
それでは、また明日。
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おときた駿 プロフィール
東京都議会議員(北区選出)/北区出身 33歳
1983年生まれ。早稲田大学政治経済学部を卒業後、LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループで7年間のビジネス経験を経て、現在東京都議会議員一期目。ネットを中心に積極的な情報発信を行い、日本初のブロガー議員として活動中。
編集部より:この記事は東京都議会議員、おときた駿氏のブログ2017年7月24日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はおときた駿ブログをご覧ください。