あるパンツ屋の社長の話:書評『人生をはみ出す技術』

宇佐美 典也

ども宇佐美です。
さて私の東大時代の同級生に枡野恵也(ますのけいや)という奴がおりまして、この度めでたく本を出したようなので今日は書評でも書いてみようと思います。

 

この枡野という男とは私にとっていわゆる「悪友」でして大学時代は、一緒に夜の大学に忍び込んで校舎の屋上で飲み明かして始末書書いたり、48時間ぶっ続けで麻雀したり、一緒にマジックマッシュルームを吸ってハイになって深夜のグラウンドを半裸で走り回ったり(違法になる前です)、などとくだらない時間を共に過ごしました。

大学卒業後も28〜30歳にかけてはシェアハウスで一緒に暮らした同居人でもあるのですが、自称”裸族”でとにかくよく裸になる男でして、土曜日の遅く起きた朝にリビングに向かうと全裸の彼がしたり顔でコーヒーを飲んでくつろいでおり、朝一からゲンナリするなどということはよくありました。この男と住んでいるうちに私の人生のペースも徐々に乱れて、経産省を退職を決意するに至ったわけですが、よくも悪くもこの男との出会いが私の人生を狂わせた大きな要因であったことは間違いありません。

そんな枡野ですが、東大在学中は選挙にもいかないくせに「おれは外務省に入って国連総長になる」などと酒を飲んでは寝言を言っていたのですが、案の定そちらの方面には興味を失って、大学卒業後はマッキンゼーに入社し、その後レアジョブ、ライフネット生命、を渡り歩いて気づいたら「toot」というパンツ屋の社長になっています。このパンツ屋というのは彼の天職のようで、かつてないほど楽しそうに過ごしています。


(toot社HPより)

そんな彼ですがこの度上奏した本は「人生をはみ出す技術」なるいたって真面目なキャリア本となっています。比喩的に表現すれば、私がめちゃくちゃお堅い中央官庁という職場から「飛び出す」というリスク満載のキャリアを選んだのに対して、彼は少しづつ世の中で言うところの真っ当なキャリアから”はみ出し”て自分の可能性を広げていくというキャリアを送っています。

ま〜どちらが世の中に広く薦められるかと言うとそれは迷うまでもなく、枡野の生き方でして、キャリア形成に悩む若者はぜひ参考にしていただければと思います。印象に残ったフレーズざっと列記しますと

・自分にどんな仕事が向いているかは案外わからないものです。私だってまさか「パンツブランドの社長」という選択肢がこの世にあって、自分に向いているとは思いもしませんでした。

・tootのパンツを始めてはいた時の衝撃は忘れられません〜私は今、パンツで革命を起こしたいと本気で考えています

・「今の仕事に熱く打ちこめているか」と自分に問いかけてみて、答えが「ノー」なら、転職も含めて環境を変えることを検討したほうがいいでしょう。

・自分が「やりたいこと」「できること」「求められること」が重なっている部分を探りながら少しづつはみ出していくことで、自分らしく働くことに通じていく〜ここに「自分だけにしかできないこと」をいれると、キャリアの悩みは途端に複雑骨折してしまいます

とまぁ、大変まともで偉そうなことを言っております。おそらくこんなまともなことを半裸または全裸で書いたのでしょう。ということで私的には身びいきも含め星4つ【★★★★☆】という評価をしたいと思います。

キャリアに悩んでいる方はぜひ読んで見てください。

ではでは今回はこの辺で。


編集部より:このブログは「宇佐美典也のblog」2017年7月30日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は宇佐美典也のblogをご覧ください。