「自社の人間を自社で育てられないなんて情けない」はちょっと違う

常見 陽平

夏休みがやってきた。子育てをしつつ、自分の時間を大事にしている。このプロレスラー風の男が、子供にミルクをやっている風の写真を撮るために、一生懸命に鍛え、日焼けに励んできた。ヘアカラーも。娘の披露宴では、新婦紹介ムービーに盛り込んでもらおう。

それはそうと、ゼリア新薬工業の新人研修での自死事件が話題となっている。

ゼリア新薬の22歳男性「ある種異様な」新人研修受け自殺 両親が提訴(BuzzFeed Japan) – Yahoo!ニュース 

Yahooニュース個人で意見を書いた。これは「ベンダーコントロール」問題で、そもそもの人材マネジメント方針、新人の育成方針もそうだが、研修会社の選定、そのマネジメントなどに問題があったのではないか、この手の問題は売り手市場の中、他社でも起こり得る問題ではないかと警鐘を乱打した。

ゼリア新薬工業自死事件の論点 人事部よ、仕事をしろ(常見陽平) – Y!ニュース 

もともとのこのニュースについても、私のエントリーについても外部の研修会社を利用したことについて、「自社の人間を自社で育てられないなんて情けない」という意見がTwitterのコメントなどで散見された。気持ちは分かる。ただ、ゼリア新薬工業を擁護するわけではないが、これもまた分かっていない意見なので、批判しておく。気をつけないと、分かっていない人として笑われ顔面蒼白になるだろう。

「自社の人間を自社で育てられないなんて情けない」は正論のように見える。ただ、これは現実的ではないし、ベストとは限らない。環境は常に変化する。外部環境も内部環境も、だ。その変化の中で、人材を育成するのは、自社内の人間だけでは成り立たない。頭数の面でも、育成スキルの面でも外部の力を借りた方が良い場合がある。

特に新人研修においては、多数の新人を一度に見なくてはならない。社員を現場から抜くだけでは対応しきれないこともある。社員に教えさせるにしても、一部はスキルが十分ではないこと、さらには社内に教えられるだけのスキルをもっている人がいないというケースもある。社外の人にお願いした方が、社員よりもスキルが高い上、教えるのが上手いというわけだ。だから、マナーに始まり、営業の基礎、ITやプレゼンテーション、ファシリテーションなどの研修を社外に任せることは企業では日常的に行われている。

外部の企業に研修を任せること自体は問題ではない。問題は、任せ方である。もっというならば、その企業の人材育成方針である。ある方針のもと、このパートにおいては外部に委託した方が上手くいくという全体の設計と、実際の外部パートナーのマネジメントをしなくてはならない。これも含めて、ベンダーコントロールの問題だと私は言いたいのである。

そもそも、その企業がどんな人材を育成するべきか。これは外部から提案を受けることはできるが、最後は自らが決めなくてはならない。魂はアウトソーシングできないのだ。

この研修に限らず、現代においてはどの業務も外部パートナーの有効な活用は賢い選択肢のひとつだ。だからこそ、どのように活用するか、パートナーが上手く仕事をしているかはチェックしないといけない。

というわけで、いずれにせよゼリア新薬工業問題は、人事部の問題だと思うのだなぁ。


最新作、夜露死苦ね!


編集部より:この記事は常見陽平氏のブログ「陽平ドットコム~試みの水平線~」2017年8月11日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。