資産運用には「ただ1つの正解」は存在しない

不動産情報サイト「健美家」に賃貸住宅市況マップが紹介されていました。不動産情報会社タスが作っているものです。関東エリアの行政地域別の賃貸状況がわかりやすく色分けされています。

一見してわかるのは、東京23区の中でも山手線の内側のような、ど真ん中の賃貸事業が良好で、周辺部に行くと市況の良くないエリアが増えていくということです。東京都以外もトレンドは改善となっていますが、相対的に厳しい状況であることがわかります。

色分けを見ると、赤の「市況が良い」となっているのは、荒川区、文京区、渋谷区。それに続いて、千代田区、中央区、港区、新宿区、豊島区が「市況がやや良い」となっています。

以前紹介したこちらの記事(資産性で選ぶなら中古ワンルームは「鉄板の8区」から)と同様、東京23区の中でも、格差が生まれてくるというのがこのデータからも明らかになっています。

しかし、このようなマクロデータだけで、投資対象を狭めてしまうのは賢明とは言えません。不動産は、金融商品とは異なり、個別性の強いものだからです。

確かに、これから不動産投資を始めようという初心者・未経験者にとっては、利回りをある程度犠牲にしても、資産性が高く空室リスクの低いエリアから始める方が安心かもしれません。

ただし、市況がよいと評価されているエリアは、当然投資家の人気も高く、物件価格が上昇し、利回りは低下しています。安心感はあるかもしれませんが、収益性は犠牲になってしまうのです。

不動産投資経験を積んだ人であれば、収益性を狙って投資対象を広げていく選択肢もあると思います。私も青色に色分けされたエリアに物件を所有していますが、ずっと満室稼働を続けています。周辺部であっても良質な物件を見つけることによって、空室リスクを抑えながら、相対的に高いリターンを狙うことは可能です。

不動産投資も金融商品と同様に、投資経験や資産規模、投資目的など投資する人のプロフィールによって最適な投資対象が異なってきます。資産運用は投資する人によって個別性の強いもので、「ただ1つの正解」は存在しないのです。

そこで大切なのが、信頼できる相談相手です。ある程度まとまった資産を運用しようという方は、自分自身の現状や目標を認識した上で、信頼できる資産運用の専門家のアドバイスを受け、最終判断していくことで、独りよがりな方法から脱却できます。

初心者・未経験者で、誰に相談したらわからないという方は、月末に開催する「究極のポートフォリオセミナー」を、そのきっかけに活用してみてください。不動産投資の始め方だけではなく、ポートフォリオ全体から考える資産配分の方法について、ピンポイントでアドバイスいたします。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所をはじめとする関連会社は、国内外の不動産、実物資産のご紹介、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2017年8月11日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。