7月28日に総務省が『平成29年版情報通信白書』を公表した。白書は「データ主導経済と社会変革」という特集を組み、「スマートフォン経済の現在と将来」「ビッグデータ利活用元年の到来」「第4次産業革命がもたらす変革」に3章を割いた。なかでもスマートフォン経済の部分は他章に比べて地に足が付いたレポートになっている。
この章で最初に取り上げたのはスマートフォンの普及率である。2010年にはわずか9.7%だった世帯普及率が2016年には71.8%にまで伸びている。個人単位では2016年に56.8%で、60歳代でも33.4%がスマートフォンを利用しているそうだ。
最近、MMD研究所が『2017年シニアのスマートフォン利用に関する調査』を発表した。それによると60代シニアのスマートフォン保有率は50.9%だから、白書の数字よりもさらに普及が進んだことになる。
白書にはスマートフォンを何に使っているかも書かれている。ネットショッピング、FinTech、シェアリング・エコノミーのいずれについても、米英に比べて遅れが目立つ。特にFinTechとシェアリング・エコノミーは日本での利用意向が低い。「投資や保険等の資産運用について提案を行うサービス」では、利用率で米国28%・日本4%、利用意向だけ見ても米国の45%に対して26%と浸透が遅い。FinTechやシェアリング・エコノミーはともに規制が関係するサービスであるから、白書は明確には指摘していないが、過剰な規制が普及の遅れにつながっている恐れがある。
20代を中心にしたミレニアル世代の情報行動を分析した部分も面白い。彼らに対するヒアリング結果によると、LINEはリアルな友人・同僚等との会話に、TwitterとInstagramは友人・同僚等との会話に加えて、まだ会ったことのないネット上で知り合った人との情報交換に利用されているという。これに対して、TwitterやInstagramをあまり使っていない上の年代とのやり取りにFacebookは利用されているという(笑)。
白書というと堅いと思うかもしれないが、通勤通学時間にも読めそうな、面白い内容が多かった。