さいきまこさんが描いている漫画「陽のあたる家」と「神様の背中」を読みました。どちらもテーマは日本の貧困問題です。
ものがあふれる豊かな国だと言われている日本でも、6人に1人の子供が貧困になっていて、その比率が年々上昇しています。
ここで言う貧困とは「相対的貧困」です。新興国で飢餓に苦しんでいる子供ように、生命を維持するために最低限必要な衣食住が満ち足りていない状態は「絶対的貧困」と呼ばれます。「相対的貧困」とは、住んでいる地域や社会において「普通」とされる生活を享受することができない状態で、国、地域、時代等によってその基準は変わってきます。
「陽のあたる家」では、生活保護に対する世の中の誤解が描かれています。真面目に一生懸命努力していても病気や事故で、仕事をしない収入を絶たれてしまう人がいる。そんな人を支える仕組みが生活保護だと理解しています。
しかし、数年前に生活保護で月に29万円を受け取っている人がいるという記事がネット上で炎上し、「生活保護は贅沢」「生活事は甘え」といった極端なイメージを持っている人も多いようです。現実は、そんなに簡単に割り切れるものではありません。
子供には自分が生まれてくる環境を選ぶ権利はありません。家庭の事情によって、未来に希望を持てない子供がいるのであれば、それを少しでも理解する寛容な社会の実現と、解消するための社会の仕組みが必要です。
「神様の背中」というタイトルには、神様にも見えない子供たちがいるという意味が込められているようです。しかし、その神様とは、自分を含めた社会全体を指していると思います。
人は自分が見える範囲、自分が理解できる範囲でしか物事を捉えることができません。見えないものは目の前にあっても気が付かないし、理解できないものは思い込みや先入観を持ち続けたままで中々変わりません。
自分が今まで知らなかった現実を、今回教えてもらい、自分の背中にあって見えなかったものが、少し見え、理解できるようになりました。
自分は、日本の貧困問題には無知で無力。知識もなく、何も力を尽くすことができずにいます。丹念な取材で描かれた2つの作品から、リアルな現実を教えられ、これから何ができるかを考えるきっかけにしたいと思います。
今回紹介した2冊の作品。貧困問題は他人事と思っている人にこそ、読んでほしいと思います。
<参考図書>
「陽のあたる家」 さいきまこ
「神様の背中」 さいきまこ
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編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2017年8月14日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。